

日本では栄養に関する情報が豊富にあり、学校でも「食育」が重視されていますが、カンボジアでは子どもが栄養や食事について学ぶ機会はほとんどありません。栄養の指導が教育体系の中に組み入れられていないことと、教えられる人材がいないことが主な理由です。子どもの平均体重や平均身長においてカンボジアは東南アジアの標準を大きく下回ります。食生活を改善するために栄養教育が必要であることは論をまちません。
FIDRはカンボジア給食支援プロジェクトで、2014年より学齢期の子どもの「推奨栄養所要量」とこれに基づく「食生活指針」の策定を保健省や教育省、国際援助機関からなるワーキングメンバーと進めました。これは、献立例、食習慣改善の呼びかけ、教育教材、モニタリング評価方法などをまとめたカンボジアで初の科学的根拠に基づく栄養改善指針で、2017年11月には保健省より国のガイドラインとして認定されました。国連食糧農業機関(FAO)のウェブサイトでも紹介されています。
この「食生活指針」開発の実績から、カンボジア教育省学校保健局は、全国の公立学校における栄養教育の導入にあたりFIDRに技術支援を要請しました。FIDRは2019年度までに、カリキュラムや指導書の作成、教科書の執筆、指導者研修等を進めました。2025年の栄養教育開始に向け、専門的な見地からのさらなる支援が期待されています。