FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

山村に安全な学び舎を
学校環境改善
2020年10月26日

新校舎完成から1年、学校の今

昨年7月、ラメチャップ郡ベタリ区のシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校とシヴァ小中学校に、FIDRの支援による新しい校舎とトイレが完成しました。それから1年、各校では、学習環境を改善させる取り組みが行われ、子どもたち、教員、保護者に様々な変化がみえるようになりました。

両校では、2015年のネパール大地震以来、竹組み・土間の粗末な小屋を仮設教室として使用しており、衛生面で十分な配慮がなされていませんでした。しかし、新校舎ができてからは、教室にゴミ箱を置き、新設したトイレの近くには手洗い場を新しく設置し、子どもたちが日常的に衛生を心がけて行動できるよう、環境を整えました。また、教材を壁に掲示したり、就学前の子どもたち用の低いテーブル、教壇などを製作したり、子どもたちにとってよりよい学習環境づくりを、学校管理委員会が中心となって行っています。

新校舎ができる前の教室と授業の様子(シッダジョティ・ハリミシュラ小中学校)

現在、教室内の壁に教材を掲示することができるようになりました

こうした工夫や取り組みは、子どもたちや教員、保護者にも様々な変化を生み出しました。仮設教室では雨風で先生の話す声が聞こえないと多くの子どもたちが言っていましたが、新しい教室では集中して授業を受けられると実感のこもった声が聞かれます。それもあってか、シヴァ小中学校では8年生が受ける卒業試験に、昨年は半数しか通らなかったのに対して、今年は全員が合格することができました。

また、保護者も子どもたちの様子に以前よりも注意を払うようになりました。例えば、子どもたちが清潔な服を着るようになったのは目に見てわかる大きな変化のひとつです。また、これまでは子どもが早退してきても気にかけなかった親もいたそうですが、最近は父兄から学校に連絡してくることが増え、子どもたちの早退率も下がったと先生は報告してくれました。

そのような中、今春の新型コロナウイルスの感染拡大。両校も、ネパール政府の方針に従って学校は3月中旬から閉鎖されました。その後なかなか再開の目途は立ちませんでしたが、そのような状況下でも先生たちは校庭の芝をはったり、柵をつくったり、できることを始めました。8月頃には、集落ごとに少数の子どもたちを集めて勉強をみる、巡回訪問も試しました。9月には村で学校再開をしてもいいとの判断が下り、現在両校では、教室内のソーシャル・ディスタンシングや授業前の手洗い等、新型コロナウイルスの予防対策を徹底しながら、授業を開始しています。

2020年10月7日

大雨被害を受けた人々の仮設住居が完成しました

7月中旬、FIDRは活動地の一つであるラメチャップ郡ベタリ区で大雨による土砂崩れと洪水から大きな被害を受けた67世帯に対し、食糧、衛生品、資材を提供しました。その後、家屋が全壊した19世帯は支援物資のビニールシートやトタン板を使い、近隣の住人らが提供してくれた土地に簡易的な住居を建て、仮暮らしを始めました。

被災した住民は、当時を振り返りこう語ります。「大雨による土砂崩れで家だけでなく、育てていた作物も流されてしまいました。生活の糧を失い、絶望で涙が止まりませんでした。FIDRが食糧や資材を提供してくれたことを神の助けだと思っています。資材をもらってから5日程で仮設住居を完成させました。おかげで、今は安心して過ごすことができています。」
他の世帯も仮設住居づくりが終わり、日中は被害のあった家屋の資材や畑の土砂を片づけ、夜は仮設住居に戻って眠る生活をつづけました。

9月にも何度か大雨を経験しましたが、直接的な被害は受けず、人々の生活は落ち着きを取り戻しつつあります。住民が仮設住居に使用した資材を活用してそれぞれに新しい住居を建てるのは、雨季が明ける10月頃になることが見込まれます。

住民たちは受け取ったトタン板を利用し、当座をしのぐため仮設住居を作りました

2020年8月7日

コロナ禍のプロジェクト地―長引く学校閉鎖の中、進む学習環境づくり―

FIDRのプロジェクトでは、昨年7月に、ラメチャップ郡ベタリ区にてシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校とシヴァ小中学校の2校において新しい校舎及びトイレが完成しました。また、12月までにダーディン郡の3校においてもトイレの建設を完了しました。今年度は、学校施設が維持、活用されていくように、教員を対象とした研修を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月下旬から学校が閉鎖され、FIDRのプロジェクト地での活動は一時中断しています。

ネパールでは、3月中旬、新型コロナウイルスの影響が出ることを予測し、全ての公立学校で学年末テストを繰り上げて行い、休暇に入りました。しかし、その時点では、その後何カ月にも亘り学校が閉鎖になることは誰も予測していませんでした。本来は4月中旬から新学校年度が始まりますが、8月上旬現在、FIDRのプロジェクト地の学校も依然として閉鎖されたままです。

3月下旬から始まった全国一斉のロックダウンが緩和されたのは、6月中旬でした。制約が緩和した活動の中に、学校再開は含まれていませんでしたが、地区政府は、州政府とともに、学校再開や学習継続に向けてどうすべきか話し合いを行いました。そこで、全ての地区で、昨年度の期末テストの結果を公表することを決め、生徒の入学・登録手続きや教科書配布を開始しました。

ソーシャルディスタンスを保ちながら、教科者配布を待つ父兄や子どもたち

カトマンズの私立学校では、オンラインでの授業が開始される一方で、農村部では、FMラジオを使った学習が導入されました。しかし、ラジオ等の機器がない家庭も多い上、通信が不安定なため、この新しいシステムは効果的には活用されていないのが現状です。そのため、多くの子どもたちはずっと学ぶ機会がないままです。

ネパールでは緩和政策が打ち出されたこともあり、新型コロナウイルス感染者は依然として増加しており、感染リスクはプロジェクト地にも及んでいます。しかし、教員らは、学校が再開次第、子どもがすぐに授業を受けられるように、準備を進めています。

校庭の芝生やフェンスを整備する教員たち

2020年7月22日

大雨被害に対する緊急支援を行いました

ネパールでは、6月中旬から雨季に入っています。連日の雨は、農作物を実らせる恵みである一方、災害を引き起こす要因ともなっています。各所で土砂崩れや洪水が発生し、この1カ月で100名近くもの方々が命を落としています。

FIDRのプロジェクト地の一つであるラメチャップ郡ベタリ区も例外ではありません。幸いにも命を落とした方はいませんでしたが、7月5日、大雨による土砂崩れと洪水により、家屋が倒壊し、田植えをしたばかりの苗も流されてしまいました。家を失った方々は、昨年、FIDRのプロジェクトで建設が完了した学校の教室へと避難せざるを得ませんでした。

家の目の前で起こった土砂崩れ

雨で流された苗

被害は例年と比べても深刻であり、FIDRは地区政府からの要請を受けて7月10日より緊急支援を開始しました。新型コロナウイルス感染リスクの観点からも、早急な仮設住居設置が必要と判断し、FIDRは家屋が全半壊の被害にあった67世帯に対して、ビニールシートやトタン板、米、石鹸を支援しました。まだ数か月続く雨季や新型コロナウイルス感染のリスクの中で、避難生活を送っていた住民からは、「これで安心して過ごすことができます」と安堵の声が聞かれました。

学校に避難した人々

救援物資配布の様子

2020年7月9日

ロックダウン下のプロジェクト地

村には新型コロナウイルスに関する相談窓口が設けられています

ネパールでは、世界各地での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月23日からロックダウンが講じられていましたが、6月15日から段階的な緩和が始まりました。しかし、現在、新型コロナウイルス感染者の数が毎日数百人規模で増加しており、7月前半には約15,000人にまで達しています。

FIDRのプロジェクト地においても、各地区に検疫所や隔離施設が設置され、地区政府が対応をしています。これまで確認されている感染者のほとんどは、出稼ぎ先のインドからの帰還者です。陽性患者が隔離施設から逃げ出したケースもあり、村人の中では地区内での感染が拡大するのではないかという懸念が広がっています。

隔離施設の内部の様子

新型コロナウイルスの感染拡大は、プロジェクト地の人々の生活にも大きな影を落としています。ヘルスポスト(村人に一番近い医療施設)では、コロナウイルス患者の治療が優先されているため、感染を恐れて妊婦さんが定期健診に行くことを控えたり、病気になっても診察を受けに行かないなど、必要な人が医療サービスを受けにくくなっています。

生活に困窮する人々も日に日に増えています。ロックダウンにより、建築業、道路工事、日雇い労働、地元のビジネスは中断され、都心部や海外で働いていた村人の多くが職を失いました。彼らは、地元の村に戻らざるを得ませんでしたが、村で生計を立てる手段はありません。

地区政府は、ダリット※を主な対象として、社会的に弱い立場にある人々を対象とした米・石鹸の配布等の救援活動を実施しています。このような政府の支援政策によって助かっている人たちがいる一方で、縁故主義が強いネパールのコミュニティでは、支援が最も必要な人に届かず、有力者の親戚縁者に回ってしまっているという声も聞かれます。

コロナ禍で先が見えない不安に包まれた農村部ですが、6月中旬、モンスーンによる雨は今年もやってきました。村人たちにとっては、例年通り田植えに忙しい日々の始まりです。少しずつ元通りの生活に戻っていけることを願いながら、人々は毎日過ごしています。

田植えは例年通り行われている

※カースト制度における社会階層の最底辺に位置づけられ、いずれのカーストにも属さないとされて差別、迫害を受けてきた人たち。ダリット(Dalit)とは「抑圧された」の意で、当事者グループ自身が用いる呼称。ネパールでは現在カースト差別は法律上禁止されているものの、人々の意識の中に定着している「浄・不浄」の概念や身分階層の意識は根強く残り、差別は今なお残る

2019年12月23日

ラメチャップ郡の2つの学校が完成、記念式典を行いました

昨年10月よりラメチャップ郡ベタリ区にて建設を進めてきたシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校とシヴァ小中学校の2校は、順調に工事が進捗し今年7月に竣工しました。
完成したのは、就学前から8年生までの子どもたちが学べる、9教室と教員室、図書室を有する2階建て校舎で、2015年の大地震後ネパール政府の定めた耐震基準を満たす鉄筋コンクリート造りです。机や椅子を新調し、男女別のトイレも設置され、子どもたちは安心して勉強できる環境を取り戻すことができました。

雨季明けを待ち、11月6日に両校の完成記念式典が催されました。日本からは本事業のご支援者を主賓に、FIDR神長評議員、岡田事務局長が迎えられ、地元住民から盛大な歓迎を受けました。ネパール政府側からは、教育省、社会福祉評議会、郡事業実施局、地域行政長官らが列席しました。学校関係者や多くの地域住民も出席し、地域を挙げて学校の完成を祝いました。

子どもたちからは「(大地震後に授業をしていた)仮設校舎では、風の強い日はとても寒く、雨の日には教室に水が入り込んできました。他の教室の授業が見えたり、聞こえたりしてきて、とてもうるさかったです。そして、また地震がくるかもしれないと思うと、とても怖かったです。新校舎ができてとても嬉しいです。勉強を続け、将来は医者やエンジニア、兵士になりたい」など、喜びの声が聴かれました。
学校内に掲げられた「学ぶことは、幸せになることです」というご支援者のメッセージどおり、新しい学び舎が、ベタリ区の子どもたちが幸せを育む場所になることを願います。

2019年8月22日

ネパールの、とある学校の一場面 〜休み時間〜

2015年のネパール大地震後に建てられた仮設校舎(シッダジョティ・ハリミシュラ小中学校)

FIDRが校舎・トイレ建設支援をしている、山間部の学校に通う子どもたち。新校舎が出来るまでの間、仮設の校舎での学校生活についてシリーズでお伝えします。

鐘がなると、みんな教室を飛び出し、走り回ります。校庭に遊具があるわけでも、サッカーボールがあるわけでもありません。ただ、友だちとじゃれあって、走り回る!何がそんなに楽しいのだろう?と思うくらい、ケラケラ、笑い声が青い空に響き渡ります。
集団で遊んでいる子どもたちに近づいてみます。よく耳を澄ますと「カバディ、カバディ、カバディ…」と繰り返す声が聞こえます。
カバディはインドの国技として知られており、すごく簡潔にいうと2チームに分かれた点数制の鬼ごっこで、攻撃側がカバルディと言い続けるのが特徴です。
実は最初に行われたのはネパールという説もあるらしいのですが、今でも学校で当たり前のように遊ばれているのを見ると、その説は本当かもしれない、と思ってしまいます。男子も女子も混ざって楽しく、なかなか真剣な勝負が繰り広げられていました。

教室の裏手では茂みに手を伸ばして何かを取ろうとしている子どもたちを発見。
茂みから何かを取り、口に入れています。小さな黄緑色の実は「キンブ」という桑の実だそうです。
一般的には大きく熟し、赤や黒になってから食べると甘いのですが、この若い実は少し甘酸っぱい味がします。

モノがなくても、周りにあるもので楽しみを見つけて、遊べるのはどこの国でも、子どもたちの才能ですね。

2019年7月26日

ネパールの、とある学校の一場面 〜朝礼〜

2015年のネパール大地震後に建てられた仮設校舎(シヴァ小中学校)

FIDRが校舎・トイレ建設支援をしている、山間部の学校に通う子どもたち。新校舎が出来るまでの間、仮設の校舎での学校生活についてシリーズでお伝えします。

ネパールの村の多くの学校には校門や構内を囲む塀はありません。標高1800メートルほどの山間部に位置する学校に立ってみていると、子どもたちがあちこちの斜面から登校してきます。
10時前、鐘がなり、一斉に子どもたちが広場にむかって駆け出します。そこでは、上級生が指揮を執り、学年ごとに整列。
次に号令に従い、腕を横や上に上げたり、手拍子をとったり、足踏みをしたり。日本でいう「前へ倣え」のような集団整列の動きをします。
それが一通り終わると、集団の中から子どもがひとり、みんなを見下ろせる崖に駆け上がり、みんなの前で二言、三言を発表。それが、数人繰り返されます。発表者が日にちや曜日などを間違えてしまい、聞いている側から総ツッコミを受けるなど、緊張で張り詰めた雰囲気ではなく、みんなが参加している様子が見ていてほほえましいものです。

再び、「前へ倣え」や足踏みをしたあと、今度は皆が右手を左胸にあてて、歌いだします。日本のように顔を上げて声高らかに歌うのとは違い、中には手をおいた胸に刻み込むように、頭を傾げ、目をつむっている子もいます。これが、ネパール式の国歌斉唱です。

国歌斉唱の次は、爪の検査です。
各学年の一番前の子が、後ろにいる同級生の爪を確認していきます。その後、小さい学年から順番に列をなしたまま、教室に入り、授業開始です。

その後、小さい学年から順番に列をなしたまま、教室に入り、授業開始です。

2018年12月26日

校舎建設工事が進行中

ヒマラヤの山々を望める新しい校舎の完成を目指して、毎日、現場作業が進められている(シッタジョティ・ハリミシュラ小中学校)

FIDRは、ラメチャップ郡ベタリ区にある、シヴァ小中学校およびシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校の学校環境の改善を行います。
これらの学校は、2015年の大地震で大きな被害を受け、地震後に設置された竹製の仮設教室を今も使用しています。ビニールシートで覆うなどの工夫はしているものの、教室には風雨が吹き込みます。
FIDRは、9月より校舎の建設を開始しました。
ネパールの年間最大の祭りであるダサインとティハールも終わった11月より、ラメチャップ郡における校舎建設工事が本格化しました。休暇が明けるとすぐ、地域住民たちが意欲的に、雨により土砂崩れやぬかるみが生じた道路を修復しました。そのおかげで、資材搬送が出来るようになり、基礎工事が着々と進んでいます。