経済成長を続けるベトナムで、少数民族が暮らす中部山岳地域は依然として貧困状況に取り残されています。広がりゆく貧富の格差を縮めるためには、地域の自立的な村づくりによる発展への取り組みが必要です。
FIDRはベトナム中部の山岳地域にあるクァンナム省ナムザン郡において、2001年から2007年まで地域総合開発事業を実施しました。その中から芽生えた少数民族手工芸支援事業は、2008年から4年間にわたりカトゥー族の伝統織物づくりを活かした収入向上を進めてきました。こうした取り組みは地域の経済的な成長にとどまらず、民族の誇りや自信が高まるといった変化をもたらしてきました。
さらには、近年工業化を志向してきた行政や地域の人々が、カトゥー族の持つ伝統や独自の文化・社会・豊富な自然といった価値=地域資源を活用した自立的な観光開発(コミュニティー・ベースド・ツーリズム)の可能性を模索し始める契機ともなりました。
※「ベトナム少数民族カトゥー族~コミュニティー・ベースド・ツーリズム~」の詳細はこちら
今日のベトナムでは、貧困削減の対策のひとつとして「観光産業の振興」が国の開発計画に盛り込まれるようになりました。中部山岳地域は新たな観光地としての可能性に期待が高まっていますが、観光開発を商業的な利益の観点で捉えず、地域に暮らす人々の生活の向上と地域資源の保護とが両立する持続的な発展の方策として、地域主導で取り組むことが重要です。
FIDRは10年あまりにわたり関わってきたナムザン郡支援の総仕上げと本事業を位置付け、日本人専門家を招いて綿密な調査と企画を進めてきました。
少数民族カトゥー族の伝統文化や地域の自然資源を活用した観光開発の推進によって、人々の収入が向上し、地域の資源が保護されるとともにその価値が高まることを目指します。
クァンナム省ナムザン郡
2012年度~2015年度
「種まき」としての地域総合開発(2001-2007)、伝統的織物産業への「選択と集中」で地域の活性化を図った少数民族手工芸支援(2008-2011)を経て、FIDRはナムザン郡に暮らすカトゥー族の村づくりのステップを固めてきました。このプロジェクトはその「総仕上げ」という位置付けで、地域の自立的な発展を確実にします。
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