PROBLEM
農業で生計がなりたたず、貧困が悪化
開発途上国では、国民の大半が農村部に暮らしており、農業で暮らしをたてています。しかし、1世帯あたりの農業の規模は小さく、生産性も低いため、生計は都市部の住民に比べて非常に厳しい状態にあります。収穫量を増やそうと化学肥料や農薬を購入することで支出が増えるばかりか、かえって土壌がやせてしまうということもあります。近年は、地球規模の気候変動が農作物の生産に深刻な影を落としています。
農業を営んでいても、自給力が低いために、食料を買うための支出がかさみます。また、急な医療や冠婚葬祭などの事情でまとまった資金が必要となれば借金をするケースも少なくありません。その返済のために自分の財産である田畑や家畜を手放してしまうと、さらに貧困の度合いを増してしまうという悪循環におちいります。現金を得るため働き手である男性が出稼ぎに行ってしまい、農作業を女性ばかりが担うという状況も目立ってきています。小規模農家の農業生産性の向上は、食糧問題だけでなく、貧困削減においても大きな課題となっています。
アジアの農業従事者と非農業従事者の貧困率の割合(%)
農業従事者と非農業従事者の貧困率の比較(出典: FAO(2018))
東南アジア・南アジアにおける農業従事者の貧困率が高いのは、以下のような状況が原因と考えられています。
など
カンボジアは、都市部と農村部の格差が広がっています。首都プノンペンの貧困率は7.0%であるのに対し、農村地域のコンポンチュナン州では貧困率は46.5%となっています。このため農村に暮らす働き盛りの世代は男性女性とも収入を得るために出稼ぎや工場労働に流れていきます。農村には祖父母と子どもが残されて、代々営んできた農業は零細化していきます。FIDRはSRIと呼ばれる稲作栽培農法の指導による米の増産、野菜栽培・養鶏の導入を進めています。これにより、住民が十分かつ栄養のある食事を摂り、良好な健康状態を維持することができるようにしています。
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