PROBLEM
健康の源である栄養を
適切に摂取できない
地球上で、5歳未満の子どもの死亡は、その3分の1以上は栄養不良が原因であるといわれています。栄養不良といっても、必ずしも食べるものがなく、やせ細った状態になるとは限りません。一定量を食べてはいても、栄養のバランスが極度に悪いために、体の抵抗力が弱く、病気にかかりやすく、治りにくいために、命を落としてしまうことが多いのです。とりわけ、成長期にある子どもは十分な栄養をとることができないと、標準的な体重や身長を大きく下回り、身体能力や学習能力にも影響が生じます。また、お母さんの栄養が不十分であると、出産や育児に大きな困難が伴います。
バランスのとれた栄養をとることは、世界各国で大切な問題となっています。慢性的な栄養失調の子どもの数は、2000年以降減ってきていますが、現在でも5歳未満の子どもの5人に1人は、慢性的な栄養失調の状態にあります。その一方で、栄養の偏りや摂取量の超過による肥満の子どもは4億人います。
5歳未満児の栄養不良率(%)
ネパール・カンボジア・ベトナムと東アジア、日本の5歳未満児の栄養不良率の比較(出典:WHO(2018))
ネパールやカンボジア、ベトナムにおける5歳未満の子どもの栄養不良率は、日本よりとても高いのが現状です。
日本では1,000人あたり約71人であるのに対し、ベトナムでは238人、カンボジアでは324人、ネパールでは360人と、日本の3倍から4倍にあたる子どもたちが十分な栄養を摂ることができずにいます。
以下のような状況が、栄養不良率の高さの原因です。
子どもの平均体重や平均身長においてカンボジアは東南アジアの標準を大きく下回ります。カンボジアでは、栄養の指導が教育体系の中に組み入れられておらず、子どもたちが栄養や食事について学ぶ機会はほとんどありません。
FIDRは、学齢期の子どもの「推奨栄養所要量」とこれに基づく「食生活指針」の策定を行い、2017年11月にはこれが保健省より国のガイドラインとして認定されました。現在は、全国の公立学校における栄養教育の導入にあたり、カリキュラムや指導書の作成、教科書の執筆、指導者研修等の支援を行っています。
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