FIDR(ファイダー)は、開発途上国の子どもたちの支援と緊急援助を行う、国際協力NGOです。

もっとも貧しい地域で、栄養不良の子どもを減らす
ベトナム中部生活改善と子どもの栄養改善
2022年4月22日

マザーズ・スペースと家庭菜園が続々とできあがっています!

今年完成したマザーズ・スペース第1号

プロジェクト地のコントゥム省でも新型コロナウイルスの陽性者が増えてきていますが、各世帯でできる活動を中心に進めています。その中でも現地で勢いよく進んでいるのは「マザーズ・スペース」と「家庭菜園」の設置です。

コントゥム省の山岳地ではキリスト教の人も多く、「12月のクリスマス前にはマザーズ・スペースを設置しよう!」と多くの世帯が家族総出で毎日作業に取り組んでいました。クリスマスに間に合わなかった世帯も「ベトナムの旧正月までには!」と意気込み、3月末までに230戸にマザーズ・スペースが設置されました。設置した家族からは「今までは川に行ったり、村の共同水場で慌ただしく水浴びをしていたけど、これからは自分のスペースで子どもも一緒に水浴びができます」「今までは近所のトイレを借りていて気がねしていたけど、これからは綺麗なトイレが自宅で使えて安心です」など喜びの声が上がっています。

さらに、人々の笑顔が絶えない活動が、家庭菜園づくりです。プロジェクト地の一部の家庭ではすでに作っていましたが、育てているのは3 〜4種類のみ。そのほとんどがマスタードやリーフレタス等の野菜で、気温が下がる数か月のみ栽培していました。そこでFIDRは、家庭での消費用に栄養価が高く、接ぎ木や挿し木等で容易に増やすことができる作物を紹介しました。その代表格が「さつまいも」です。栽培が容易で保存もきき、食物繊維も豊富。お弁当や子どものおやつにも最適なため、栽培農家が増えてきました。住民の健康のため、少しでも長い期間、多様な野菜が栽培できるよう家庭菜園づくりを進めていきます。

竹で作られたマザーズ・スペースの中

多種多様な作物の栽培を行う家庭菜園

2022年3月25日

『栄養に配慮した農業および生活改善』をテーマに研修を実施しました

マザーズ・スペースについて説明するホア職員

2月23日、FIDRベトナム事務所はJICA研修の一環として、アフリカの英語圏8か国の政府行政官を対象に、「栄養に配慮した農業および生活改善」について講義を行いました。

研修の前半では、大槻所長とホア職員から、FIDRが2018年までベトナムのコントゥム省で実施した子どもの栄養改善事業の取り組みを紹介しました。栄養に特化した活動に加え、日々の生活をよりよくするために小さな工夫や改善を積みあげていく「生活改善アプローチ」を導入したことが子ども栄養改善の大きな原動力となったこと、そしてその取り組みのきっかけとなった「マザーズ・スペース」を中心に説明しました。

トイレ、洗濯、水浴びができる手作り施設「マザーズ・スペース」は、衛生改善において大きな成果を上げたのみならず、女性の立場が弱くなりがちな農村部で、お母さんが一人の時間を安心して過ごせる場所としても機能しました。研修参加国の中で同じ課題を抱える国もあり、共感を呼びました。

質疑応答では、事業の進め方や改善方法、活動を実施する上で持つべき視点等、参加者から非常に多くの質問が寄せられました。特に、マザーズ・スペースや父親も一緒に栄養について理解を深めてもらう活動は、早速それぞれの国で実践できそうだと、高い評価を頂きました。

2022年1月20日

コントゥム省に「マザーズ・スペース」が戻ってきた!

SUN-CSA執行委員のメンバー 先行プロジェクトでマザーズ・スペースを導入した先輩世帯からの話を熱心に聞く参加世帯

昨年10月、世界の中でも特に厳しいと言われるベトナムのロックダウンがようやく解除されました。第4波は3か月以上続き、FIDRスタッフも活動地に行けない状況が続いていました。そんな中、プロジェクト地であるコントゥム省の行政官や地域の人々が、待ちに待った活動を開始しました。

第一弾は「マザーズ・スペース」の設置です。これは2012年より6年にわたる先行プロジェクトでFIDRがモデル化したもので、トイレ、水浴び場、洗濯場など多目的に利用できる各家庭の手作り衛生施設です。これは、世界銀行や大手国際NGOも取り入れ始めている活動にもなっています。

今年度から同省の4郡で設置をすすめ、衛生改善をはかる計画です。「いつ始めるんだ?」「早く進めよう!」と何度も地域の人々から熱いコールが続き、お尻を叩かれるように、スタッフは現地に向かいました。現地では、まだ準備段階のミーティングでも、すぐに作業を始める住民がでてきたり、作業が遅れている家族を手伝ったりと、ロックダウン後の反動のように人々が活発に動き出しています。

本当に必要とされている活動は、住民の手でどんどん進められていくのだとスタッフ一同実感しています。さあ、今年はいくつのマザーズ・スペースが生まれるのでしょうか?今から楽しみです!

マザーズ・スペース建設予定地で測量する女性(その後ろは今までの彼女の家のトイレ)

参加世帯の元に到着したマザーズ・スペースを作るための資材

2021年7月26日

プロジェクト開始にあたり先行事業の対象地でモニタリングを行いました

SUN-CSA執行委員のメンバー

「ベトナム中部生活改善と子どもの栄養改善プロジェクト」の本格的な開始に向けて、FIDRスタッフは先行事業でも対象地であったベトナム中部高原地域のコントゥム省ダックトー郡を訪問し、プロジェクト完了後のモニタリングを実施しました。

その結果、先行事業で実施した活動の中でも高い効果をあげた、トイレ、水浴び場、洗濯場など多目的に利用できる各家庭の手作り衛生施設「マザーズ・スペース」は、2017年度に事業を完了してからも、住民自身がメンテナンスを行っているだけではなく、中には水タンクやパイプなどを新たに取り付け、改修した家庭もあることがわかりました。マザーズ・スペースを導入した家庭が率先してその使いやすさを近隣住民に紹介したことによって、実際に自分たちで導入した家庭もありました。

また、世界銀行がマザーズ・スペースの建設を参考にしたという例もありました。マザーズ・スペースは、建設期間中のほとんどの過程において設置世帯や地域が参加するようになっており、特に地上部分は住民の創意工夫によって建設され、地下部分の建設資材が支援されます。世界銀行によるトイレ建設支援がコントゥム省で実施された際、マザーズ・スペースを高く評価している現地行政がこの手法を紹介し、建物を含むすべての建設費を支援していたこれまでのトイレ建設と異なり、地上部分の建設を設置世帯に任せたため、より多くの世帯に設置が可能となったということです。

授業の様子 先行事業で導入されたマザーズ・スペースは現在も大切に使われています

ダックトー郡では、住民の意欲も高く、先行事業で住民リーダーとして活躍した女性からは「プロジェクトが開始したら、ぜひ協力したいです。」との声が聞かれました。今年8月の本格始動に向けて、引き続き準備を進めてまいります。

2020年9月7日

栄養不良の原因調査を実施しました

SUN-CSA執行委員のメンバー コントゥム省の少数民族地域での調査にて。住民自身が自分の村について分析しました。

2018年度で終了したコントゥム省内2郡での子どもの栄養改善プロジェクトは、行政から高く評価され、省内全域に広げて欲しいとの要請がありました。コントゥム省では、先行プロジェクトの対象2郡以外では乳幼児の栄養状態の改善が進んでおらず、5歳未満児の栄養不良率は40%と国内で最も高くなっています。

2019年度に、その原因を調査し、地域住民の保健衛生の知識や行動だけでなく、農業の生産力や収入の低さも課題であることがわかりました。そのため、先行プロジェクトで推進した乳幼児の補完食や「マザーズスペース」(トイレ・シャワー・洗濯の施設)設置などの活動に加えて、農業技術やコミュニティーの協力体制を高める活動を行うことで、地域全体の生活改善を図り、その効果として子どもの栄養・健康が持続的に増進するというアプローチを取ることにしました。現在活動実施に向けて、準備を進めています。