2015年のネパール大地震によって多くの校舎が倒壊しました。将来の震災に備え、十分な強度をもった校舎の建設が急務ですが、その対応ができていない学校が多くあります。そこでは子どもたちが依然として簡素な造りの仮設教室で授業を受けています。また、学校にはトイレがなかったり、数が不足していたりするため、周囲の衛生と子どもたち(特に女子)の心身に影響を及ぼしています。
ネパールで安全性の高い学校の建設が遅れる主な理由は、以下の3点にまとめられます。
まず、山々が連なる険しい地形があげられます。学校に通じる未舗装の細い山道は建築資材をトラックで運ぶのも、平地とは比較にならない困難さがあります。雨季には土砂崩れも頻発し、いっそう難度が増します。耐震性を考えるからには鉄筋コンクリート工法を採用しなければなりませんが、セメントやレンガ、鋼材などの重量ある資材を外から運び込む必要があるため、市街地から離れた山間地ほど対応が遅くなります。
次に、長く続いた政治的な不安定とこれに伴う国の財政力の弱さがあげられます。校舎建設にかかる費用を国内の税収で賄うことは難しく、地元のコミュニティが自力で寄付を募るか、政府を通じて外国からの支援によって調達することになります。また、こうした校舎建設では教室が優先される一方、トイレは後回しになることも少なくありません。
最後に、技術上の制約があります。鉄筋コンクリート造りの建築に習熟した建設作業員は山あいの地域には少なく、その監督を司る技師も都市部に集まっています。たとえ設計が耐震性を物語っても、実際の施工の質が低ければ意味を成しません。
こうした状況を念頭に置きつつ、FIDRはこれまでに6校の校舎建設を実現しています。ラメチャップ郡およびダーディン郡にて、校舎やトイレの建設の必要性の高い学校を見極め、地元コミュニティや行政当局から支援の要請を受けました。
子どもたちの学習環境が改善され、コミュニティによって持続的に維持管理されるようにします。
ラメチャップ郡ゴクルガンガ地区
ダーディン郡ニラカンタ市
ラメチャップ郡において2校の校舎およびトイレ建設、ダーディン郡内の3校でトイレ建設を実施します。
2017年8月~2020年6月
将来を担う子どもたちの勉学の場として、そしてまた地域活動の拠点施設として、学校は地元の人々にとって重要な意味を持ちます。校舎建設のプラン作りから、完成後の維持管理に至るまで地元コミュニティのイニシアティブを最大限にいかして活動を進めてまいります。
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