※本プロジェクトは、2016年度より独立行政法人国際協力機構(JICA)の「草の根技術協力事業」として、「ナムザン郡少数民族地域における住民主体による地域活性化のための人材育成」という事業名で実施しました。
経済成長を続けるベトナムで、少数民族が暮らす中部山岳地域は依然として貧困状況に取り残されています。広がりゆく貧富の格差を縮めるためには、地域の自立的な村づくりによる発展への取り組みが必要です。
FIDRはベトナム中部の山岳地域にあるクァンナム省ナムザン郡において、2001年から2007年まで地域総合開発プロジェクトを実施しました。その中から芽生えた少数民族手工芸支援プロジェクトは、2008年から4年間にわたりカトゥー族の伝統織物づくりを活かした収入向上を進めてきました。こうした取り組みは地域の経済的な成長にとどまらず、民族の誇りや自信が高まるといった変化をもたらしてきました。
※「ベトナム少数民族カトゥー族~コミュニティー・ベースド・ツーリズム~」詳細はこちら
そして、工業化を志向してきた行政や地域のリーダーも、カトゥー族が受け継いできた伝統や文化・社会・豊富な自然といった価値(=地域資源)を活用した自立的な観光開発(コミュニティー・ベースド・ツーリズム)に地元の発展の活路を見出すようになってきました。そこでFIDRは2012年から4年間、郡内12社*のうちのひとつタビン社で、カトゥー族の伝統文化や地域の自然資源を活用しつつ、観光を軸とした村おこしを通じて収入向上、地域の資源保護とその価値の向上を目指す、「少数民族地域活性化のための観光開発プロジェクト」に取り組みました。このプロジェクトにより対象地域では自立的発展が実現してきました。
しかし、ナムザン郡にはタビン社の他に11の社があります。タビン社での観光開発の取り組みによる発展は、郡内に広く刺激を与え、各地で地元の発展を目指す機運は高まってきました。他の社においても工芸技術、農作物生産、食品加工など観光以外の地場産業が育つ可能性は十分にあるとみられます。しかし、要となる人材の不足、行政による支援体制の不備といった課題を抱えています。これらを克服し地域活性化のモデルを作り上げることが、クァンナム省内および国から期待されています。
*社 :「村」の上位行政単位
ナムザン郡において、少数民族の持続的且つ包括的な地域活性化を進めるためのモデル(人財育成、官民支援体制、マーケティング体制、地域資源開発手法)が構築され、住民主導で地域おこしが持続的に進むことを目指します。
クァンナム省ナムザン郡
2016年度~2019年度