FIDRが活動を開始した1990年に比べると、経済力を大きく伸ばした国々がアジアにはいくつもあります。FIDRが現在携わっているネパール、カンボジア、ベトナムも、着実に成長を遂げています。
しかし、人間開発指数(Human Development Index:HDI)や持続的な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の達成度の順位を見ると、依然としてこれらの国々は日本よりかなり下位にとどまっています。国と国の間の格差は簡単には解消しません。
そして、格差はそれぞれの国の中においても存在し、近年より深刻になっているのです。しかも、格差の構図の底辺に置かれる人たちの声はなかなか聞き留められず、現地の行政の対応も遅々として進みません。
FIDRは、「どうにかこの状況を改善したい、しかし自力ではどうにもならない」という思いを抱いている人たちのすぐ近くに寄り添い、声を聞き留めます
これらは、ほんの一例に過ぎず、様々な声が聞かれます。
生活を営むうえで、仕事に従事するうえで、将来に希望を託すうえで、困難な状況が立ちはだかっています。これらの課題が重層的に存在しているのが、現地のリアリティーです。そこに単一の解法はありません。。
だからFIDRは特定の分野に絞った活動をするのではなく、いくつもの側面から現地の状況を捉えて、プロジェクトを構成します。
これまでFIDRは主に以下のテーマを重視して取り組んでいます。
保健衛生Public Health
人々が日々の生活の中で自らの健康を守るため、病気や怪我の予防と対処に関する知識を普及し行動を改善します。家庭やコミュニティーの衛生環境を向上させ、保健活動に従事する人々の育成を図ります。
医療Medicine
ひとりでも多くの子どもたちが健やかな成長を遂げるよう、治せるはずの病気や怪我を負った患者に適切な診断と治療を提供できる医師や看護師を育てるとともに、必要な施設環境を調えます。
栄養Nutrition
健康は毎日の食事で摂取する栄養に大きく左右されます。どのような食物をどのくらい食べたらよいのかという知識とそれを実践する方法を広く普及するための人材育成と環境の改善を図ります。
農業Agriculture
地方に住む人々の多くが農業に従事しています。しかし自家消費するのに足る収穫が無かったり、家計を支えるだけの生産力がない農家が途上国には多く存在します。コストをかけずに高い生産性を得られる農法の普及と設備の支援を行います。
教育Education
学齢期の子どもたちが、質の高い教育を学校で受けることができるよう、施設や教材の整備を行うとともに教員の指導力の向上を図ります。教育は子どもばかりを対象とするのではなく、成人向け識字教室や初歩の経営技能、保健衛生の知識など、現在の諸問題を改善する上で極めて重要な働きをします。
産業育成Local Industry
地場産品や伝統的な文化を活かした商品を開発し、外部との流通を構築することで閉塞的だったコミュニティーの活性化と持続的な成長を図ります。若い世代が村で活躍できる仕組みが過疎化を防ぎ、土地に根付いた文化も継承されます。