FIDRのベトナム事業に関する論文を発表しました
FIDRは約20年間わたり、ベトナム中部少数民族地域で地域開発に取り組んできました。この一環で2016年から2020年にかけて実施した「ナムザン郡地域活性化支援プロジェクト」の取り組みやアプローチ方法をまとめた論文を農村計画学会の学会誌「Asian Rural Future」に発表しました。以下に、そのアプローチをご紹介します。
援助業界では、先進国から開発途上国に最先端の技術を移転するというアプローチをとることが多いですが、同プロジェクトでは、現地の人々がその地域にある魅力を再発見し、それを活かして自ら地域をよりよくしていく仕組みを作るというアプローチを採用しました。特に山岳部でアクセスが難しいベトナム中部少数民族地域では、地域にあるものを活用するというアプローチが地域の持続的発展に欠かせない要素です。
これを実現するため、地域住民が主体となって、「宝探し」から始め、「地域資源を活用した製品開発と観光開発」などを進めました。ここでFIDRが採用したアプローチは、活動の対象者を事前に選ぶのではなく、希望する人は誰でも参加できるようにすることです。研修などの活動を通じて、できるだけ地域の人々に多くの情報を提供することで、住民が社会や組織などの変化に柔軟に対応することができるようになり、プロジェクトが終わっても、自分たちの手で地域全体を発展させつづけることができるのです。
これらのアプローチを採用した結果、プロジェクトの期間中、地元住民が開発した観光ツアーとナムザン郡全域において開発された特産品からの収入は毎年平均20%以上上昇しました。地域収入や人々の生活に大きな成果をもたらしたことで、これら二つのアプローチは、プロジェクトが完了した後も継続可能なモデルとなりました。
▶︎FIDRの論文は下記リンクの101ページよりご覧いただけます。
http://rural-planning.jp/wordpress/wp-content/uploads/2022/02/AsianRuralFuture2030.pdf