コンポンレーン郡大嵐被害への緊急支援を実施しました
支援を受け笑顔を見せる住民たちと物資を届けるチャン職員(中央)
5月8日、FIDRの活動地であるコンポンチュナン州を大嵐が襲い、大きな被害が発生しました。
大嵐で屋根が吹き飛び、床が水浸しになった家
倒壊した家
柱が折れて横に潰れてしまった2階部分
5月下旬、FIDRは現地行政からの要請を受け、住宅損壊などの被害が深刻だったコンポンレーン郡プラウトゥーク地区の68世帯に対して、緊急支援物資を提供しました。
支援物資は、米、乾麺、魚の缶詰、魚醤(魚介類を塩漬け・発酵させて作る調味料)という食料品や、住宅の再建・補修に役立ててもらうためのトタン材や木材です。カンボジアでは6月から雨季が始まるため、屋根や家屋の再建は急務です。ここは州都から遠く離れているため、資材の運搬費用が嵩み、高い再建費用が被災世帯に重くのしかかるため、食料品を支援することにより、食費の一部を再建費用に回すことが可能になります。
このエリアは、今年度から新たに事業展開を計画している郡で、被災地区には大嵐の1週間前に現地視察で訪れたばかりでした。雨季には全域が完全に水没してしまうため、陸地を利用して生計を立てることや、インフラを整備することが非常に困難で、貧困割合が群を抜いて高いエリアです。雨季は、家屋の高床の部分がすっぽり水に浸かり、子どもたちは学校にはボートで通い、車が走れる道は無くなるため、人も物も全てが水上生活・水上輸送を強いられます。
冠水時のイメージ。雨季は、人の背の高さ以上に水かさが増してしまう。
一般的な高床式の家。雨季は床から下の部分がすっぽり水に浸かってしまう。(乾季)
下の部分が水に浸かってしまった家々と、水面移動用のボート(雨季)
元より生活が厳しいこの地区では、災害に見舞われることで、一気に生活が立ち行かなくなるリスクが他の地区より高いと考えられます。事業地としての活動はまだ始動はしていませんが、直前の訪問でこの地区の困難さや、自然と向き合いながら生活する逞しい地元の人々を目の当たりにしてきたことから、州行政からの要請を受け入れ、今回の緊急支援が実現しました。
支援物資を受けとった住民の方々は、「私たちを助けてくれたFIDRに、本当に感謝しています!」と、嬉しそうな笑顔でお礼の言葉をくださいました。