雑草にあわてる
プロジェクト開始と同時にスタートした農業技術研修。プロジェクト初年度の対象地域10村でSRI農法を紹介し、これまでに357名の農家が参加しました。6月から7月にかけて田植えを終え、さぁ、あとは育つのを待つだけ…と息をついたのも束の間、思わぬ光景がありました。
8月に実施した第6回目の研修で、実習のためにSRI農法を実践している田んぼに行くと、稲よりも雑草のほうが背が高い!田んぼを所有している農家は、雑草が生えるがままにしていたようです。折しも研修内容は、害虫や稲の病気の説明と、稲の生育のために土の中に空気を混ぜることも狙った定期的な草取りの技法でした。そこで指導者、研修生、FIDRスタッフ、一同は急いでこの田んぼの草取りをしたのでした。
貧困率の高いクァンナム省の山岳地域では、化学肥料や除虫剤を購入して使用している農家はごく稀です。そのため害虫による被害も多いのですが、研修を主導しているクァンナム省植物保護支局とFIDRは、村の外部から化学物質を持ち込んで解決するのではなく、村の内部にあるものを活用した有機肥料を用いたり、こまめに草取りをすることで稲本来の力を強くする方法を勧めています。
この研修で教えているのはSRI技術の基本。私たちは、それぞれの農家が教わったことをただ守るだけではなく、さらに多くの収量をあげられるよう自らがたゆみない工夫を実践してくれることを期待しています。