貧困地域の子どものための施設で、栄養のある給食の提供がはじまりました
子どもたちが給食を食べる様子
カンボジアでは、学校や孤児院などの施設でも、栄養の視点で給食を提供しているところはありません。これまでFIDRは、首都プノンペンの国立小児病院において、カンボジアで初めて給食・栄養管理を導入してきました。その経験を活かして、現在、子どもに給食を提供する施設での給食・栄養管理支援を行っています。
支援先の一つが、プノンペンの貧困地域の子どもたちに対して教育支援、職業訓練、食事提供等を行っているフランスのNGO団体Pour un Sourired'Enfant (PSE)*です。PSEが運営する施設には、現在およそ6,000人が通い、年齢にあわせた教育や職業訓練を受けています。同時に、子どもの家庭の状況に応じて、朝食や昼食、夕食、おやつが提供されており、昼食だけで毎日約2,000人分が配膳されています。
PSEでは、FIDRの支援の下、まずは0歳から5歳の栄養不良児20人程度の給食を改善することとし、12月から、必要エネルギーや栄養のバランスがしっかり計算された新しい給食メニューが実施されるようになりました。
以前の給食では、食事の量やメニューは子どもたちの食欲や好みに大きく左右されていましたが、新しいメニューによって、定められた量の給食を通して、子どもたちがご飯・肉・野菜などからバランスよく一日に必要なエネルギーや栄養素を摂取できるようになりました。また、PSEの施設に通う子どもたちは、家庭では十分に食べることができなかったり、エネルギーや栄養への配慮がない食事を摂っていたりすることが多いため、PSEでは、新たに夕方にもおやつの時間を設け、手作りのお菓子または果物を配ることにしました。これには子どもたちも大喜びしています。
この施設では、単に栄養の視点を給食に取り入れるだけでなく、予定していた食材が調達できずに別の食材で対応しなければならなくなった場合のメニューの調整や、調理環境そのものの衛生状態改善など、ほかにも給食システム全体の改善に取り組んでいます。
FIDRでは今後もPSEでの栄養管理のみならず、給食管理全体の改善がしっかり根付くようサポートを続けます。
※フランス語で「子どもたちの笑顔のために」の意
FIDRのスタッフ(右)の指示のもと栄養計算を行うPSE職員(左)