子どもたちの健やかな成長を、地域でサポートしていくために
5歳未満児の栄養不良率の高い当プロジェクト地域では、乳幼児を持つ母親を対象とした補完食*の調理指導や子どもの身体測定の実施など、栄養に関する知識や意識の向上を目指した活動を行っています。
そして通常の研修やワークショップに加え、時には直接家庭に足を運び、子どもの栄養状態の確認を行うことがあります。
昨年末のある日、FIDRスタッフと保健ボランティアが体重計を携え、ある一軒の家を訪問しました。
その家では、昨年5月の身体測定により低栄養であると確認された子どもが、工場に働きに出ている母親の代わりに日頃面倒を見ている祖母と一緒に待っていました。
まずは子どもの食事状況について祖母に話を聞いてみました。すると「5月の身体測定で低栄養であると説明を受けて以降、補完食の調理頻度を増やしたが、子どもは残してしまうことが多く、なかなか身体の大きくならない孫を家族一同心配している」と困った様子で話してくれました。再度行った体重測定の結果でも、やはり大きな変化は見られませんでした。
そこでFIDRスタッフと保健ボランティアは、まずは子どもが食欲をそそられ飽きずに完食できるような補完食作りを目指すことを提案し、毎日違うレシピで調理することや、味付けを濃くしすぎないこと、また時にはにんじんや卵を使って見た目も色鮮やかになるよう調理するなどのアドバイスを行いました。そして、また様子を見にくることを約束しました。
FIDRでは,こうした低栄養児をもつ家庭を今後コミュニティとしてサポートする体制をつくっていこうと、保健ボランティアや保健センター職員たちと定期的に情報共有の場を設け、各村の子ども一人ひとりの栄養状態を確認・共有しています。そして今後は、上記のような家庭訪問も、各村の保健ボランティアたちが中心となって行っていく予定です。
村の子どもたちが健やかに成長していけるよう、お互いを支えあえるコミュニティづくりを目指して引き続き活動していきます。
*生後6ヶ月から2歳までの乳幼児に、母乳だけでは不足しがちな栄養分を補うために与える具入りのお粥。乳幼児の栄養不良の改善に役立つとして、カンボジア保健省の主導のもと全国に広まっています。