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20年間のプロジェクトをふり返って【1】 ~国立小児病院における外科診療体制の構築~

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1996年から、カンボジアで初めての小児外科医療の立ち上げとその発展に取り組んできた「カンボジア小児外科支援プロジェクト」は、2015年度が第4フェーズの最終年度でした。20年の節目を迎え、これまでの取り組みの成果を測るため、外部の専門家によるプロジェクト評価を行いました。その結果、カンボジアにおける小児外科の診療体制が築かれたこと、また、小児外科診療を行う医療従事者の教育体制を整えることができたという成果が認められました。
そこで、これらの成果と課題について、3回にわたりご報告します。

今回は、首都プノンペンにある国立小児病院(National Pediatric Hospital/NPH)における外科診療体制の構築についてお話しします。

FIDRが支援を開始した1996年当時、カンボジア国内で小児医療を提供していたのは、国外からの支援により診療を再開したNPHのみでした。そのNPHにも外科部門はなく、国内に小児外科医療を提供できる病院は存在しませんでした。今回の事業評価では、まず、NPHにおいて新生児手術にも対応できる診療体制が整ったことが評価を受けました。わずかな人材と設備で発足したNPHの外科部門は、今では50名の医師・看護師を有し、年間1600件の手術を行えるまでになっています。また、24時間の看護体制や、新生児手術を担う医療チームが実現しています。

FIDRは、NPHにおいて外科部門設立のための支援を皮切りに、入院病棟や手術室の建設、医療機材の配備、医師や看護師の育成など、20年掛けて小児外科の診療体制の構築を進めてきました。この間に、NPHの外科医たちは、形成外科、整形外科、腹腔外科などそれぞれの専門領域における技能を磨きました。さらに、鎖肛や食道閉鎖などの生後間もなく手術が必要な、重篤な先天性疾患をもつ新生児の治療もできるようになり、子どもの死亡率低減に寄与しています。一時的な医療の提供ではなく、現地に腰を据えて、中長期的な視野で技術移転を行い、カンボジア人医師を育てたことは、専門家から高く評価されています。

評価に際し、NPH外科に入院した患者の家族170名にインタビューをしたところ、91%の人が「NPH外科で受けた治療の結果に満足している」、97%の人が「親戚や知人の子どもに外科患者がいたら、NPHでの受診を勧めたい」と答えるなど、今ではNPHが小児外科医療を提供する病院として、厚い信頼を得ていることも確認できました。

次回は、「地方における小児外科診療体制の構築」についてお話しします。

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