おばあちゃんに続け!
ナムザン郡でもレアな「かすみ(しぼり)」の技術を持つおばあちゃん
「ナムザン郡地域活性化」プロジェクトでは、地域の宝さがしが始まっています。先日、ナムザン郡内の対象地域の社*を代表する人たちが集まり「宝物リスト」を作ったところ、200近いアイテムが出てきました。参加した人たちの様子を見ると、童心にかえったように楽しそうです。
さて、FIDRがずっと懸念していたことがあります。今から数年前に実施した「ベトナム少数民族手工芸支援」プロジェクトのころ。織り手が少なくなった伝統織「カトゥー織」の技術を後世に伝えるべく立ち上がった女性たちをFIDRは支援していましたが、そこである情報を手に入れます。より山深い地域に、遠い昔より綿花を栽培し、天然染色を行い、ナムザン郡でもレアな「かすみ(しぼり)」の技術を持つ女性がいる・・・と。しかもその女性はすでに高齢で、外国人も入れない国境に近い山岳地で暮らしているというのです。
「このおばあちゃんがいなくなったらどうなるの?」FIDRはそんな不安を抱きつつも、まずは伝統を継承させるために先に動き出した若手の女性にカトゥー織の織り方を習得してもらうことを優先させ、少数民族の女性による協同組合もつくりました。
そして数年たった今、地域で実施したこの「宝さがし」を通じて、以前はほぼ興味を失っていた女性たちが「おばあちゃんが宝物だ」と感じてくれ、綿花の伝統栽培および染色技術を直接学びたい、と言ってくれたのです!FIDRは嬉しくて泣きたくなりました。
おばあちゃんもまだご健在。とはいえ時間が限られる中、彼女たちの伝統を受け継ぐチャレンジが始まりました。「伝統を途絶えさせまい!」と、おばあちゃんと同じ村に住む彼女たちは、熱心におばあちゃんの家に通い、現在その技術を自主的に学んでいます。
さぁ、「おばあちゃんに続け!」
*社:「村」の上位行政単位
伝統技術を若者に伝えるおばあちゃん