食生活指針の完成発表セミナーを開催しました
当日参加された皆さまと
3年余りに及び、FIDRとカンボジアの関連省庁、国際機関やNGOが一緒になって協議して開発に取り組んできた、カンボジアにおいて初めてとなる学齢期の子どもたちのための食生活指針(カンボジア版「食事バランスガイド」)がついに完成しました。この食生活指針はカンボジア保健省で正式に認定され、子どもたちの栄養摂取のための新しいガイドラインとなりました。ここに至るまでには、本当に様々な課題やクリアしなければいけない問題があり、頭を抱える日々もたくさんありましたが、無事に完成発表セミナーを開催できたことは、FIDRスタッフにとっても非常に嬉しく、誇りに思う出来事でした。
関連省庁の代表者とのパネルディスカッション
セミナー当日(11月20日)は、カンボジア保健省や教育省をはじめ、地方からも関係者が駆けつけてくださり、多くの方々に完成のご報告をすることができました。また、これまで技術的なサポートをしてくださっていた青森県立保健大学の吉池信男教授と草間かおる准教授にもお越しいただき、日本での食生活指針の実践事例や活用方法に関してお話いただきました。カンボジアの人々(特に地方の方)にとって、日本の大学教授からお話を聞く機会はとても珍しく、熱心にお話を聞いていた様子が印象的でした。
日本の事例についてお話される吉池教授(写真左)
それ以外に、食生活指針の教材作成において資金的にご支援いただいた、京都モーニングロータリークラブのメンバーの方々にもご参加いただきました。FIDRが取り組んでいるプロジェクトの現場を実際に見ていただくことで、より活動の内容等をご理解いただくことができ、現地のスタッフやカンボジアの人々との距離も一層縮まったのではないかと思います。我々スタッフにとっても、様々な人々によって支えられていることを改めて実感する機会となり、感謝の気持ちが一層強くなりました。
また、このセミナーの様子は、カンボジアのテレビ局に全国版ニュースとして取り上げられました。これをきっかけに、カンボジアの多くの人々に関心を持ってもらえたら嬉しい限りです。
今回開発した食生活指針(カンボジア版「食事バランスガイド」)は、完成したから終了するわけではなく、これらを普及させていくという最も大切なプロセスが待っています。
今後、カンボジアの小学校で「保健」が正式な教科となる予定であり、日本の保健や家庭科の教科書に「食事バランスガイド」が掲載されているように、この食生活指針もカンボジアの教科書に掲載されることになっていくことと思います。しかしながら、現在のカンボジアには、その教科を教えられる栄養教諭や栄養士がいないため、栄養教育や食育の取り組みはまだ行われていません。
そのため当面はカンボジアの学校で栄養教育を進めるにあたり、教諭に向けた研修やトレーニングも行っていくことが必要とされており、FIDRはそれらのサポートを行っていく予定です。
完成した食生活指針とアンコールワットをかたどったフードピラミッド