カンボジア教育・青年・スポーツ省の職員が、日本で「栄養教育」について学びました
栄養教諭から手作りの教材を使用した授業の手法を学ぶ(小平市立第六小学校)
10月16日から22日まで、カンボジア教育・青年・スポーツ省学校保健局の幹部職員3名が日本を視察訪問し、栄養教育の仕組みや食育の実際、教員養成制度などについて知見を深めました。カンボジアでは、2021年から公立の小中高等学校の正規教科となる保健科目に、栄養分野を組み入れることとなりました。しかし、教員は栄養についての知識も指導経験も備えていません。そこでFIDRは、教員養成に携わる同省の職員が、栄養教育の内容や指導人材の育成について先進事例を学ぶ機会として、視察を実施しました。
視察者の方々は、東京都内の2つの小学校を訪問、食育の授業を見学し、教材や授業計画作りについて栄養教諭から説明を受けたほか、児童とともに給食を試食しました。食育の授業は家庭科や給食の時間などを活用して担任と連携して行っていること、教材は工夫を凝らして手作りしていることなどが印象に残ったようです。
和洋女子大学では、栄養士や家庭科教諭などの養成課程について説明を受け、「100食調理実習」を見学しました。カンボジアでは、実技を学ぶのは職業訓練学校のような施設に限られることから、視察者の方々は、大学での実践的な授業内容に感心していました。実習後の試食では、栄養バランスだけでなく、彩りや見た目なども考えて食事が作られていることに驚いていました。
このほか、日本の学校給食や食育の制度や、現職教員への定期的な研修の仕組みについても学びました。
和洋女子大学では、実習用の調理設備の充実ぶりに驚く
同大学の学生が実習で調理した食事を試食するカンボジア教育・青年・スポーツ省のソカ氏(左)、FIDR甲斐専門家(中央)、同省のチェンダ氏(右)
視察者の方々からは「日本の仕組みに大変感心した。カンボジアとの差が歴然で、どうしたらカンボジアでも実践できるかと常に考えていた」、「学校給食は『生きた教材』。給食を提供するだけでなく、同時に、食物や栄養、健康の教育を行うことが重要だと感じた。カンボジアでは教員が教材を作る習慣が無いが、お金をかけずに作成できる教材については、教員にも作成と使用を促したい」、「今後、学校長向けの研修を予定しているので、視察で学んだことや栄養の大切さを伝えたい。カンボジアでも、教員養成制度を強化し、現職教員が定期的に研修を受ける必要性を強く感じた」などの感想が聞かれました。
視察者の方々が、この視察で得た知見を、カンボジアでの栄養教育の実践につなげていけるよう、FIDRは引き続き支援をしていきます。