大学生に栄養教育を実施、日本視察の経験が活かされました
「栄養と教育」ワークショップに参加する学生と、FIDRスタッフ(中央)
12月28日、当プロジェクトのスタッフと、カンボジア教育・青年・スポーツ省のソカ氏が、プノンペンから車で3時間ほどの距離にあるスヴァイリエン州のスヴァイリエン大学で、「栄養と教育」をテーマにした学生向けのワークショップに登壇しました。
現在、カンボジアの大学では、栄養の学科課程はなく、基礎から学べる教育機関もほとんど存在していません。そんな中、なぜこのワークショップが開催されることになったかというと、昨年10月に日本を視察した教育・青年・スポーツ省学校保健局のソカ氏が、栄養教育の大切さや日本で学んだことを広めたい、という希望からでした。栄養をテーマに自ら学生に話をしたい、と大学の方に提案、相談し、実現に至りました。そして、実際に大学で栄養学を学んだ人にも話をしてほしい、ということで、FIDRの甲斐専門家も登壇することになったのです。
当日、まずは甲斐専門家より、「栄養学とはどういうものか」「どんな勉強をするのか」を皮切りに、栄養士・管理栄養士の職場や仕事内容、将来の可能性など、日本や他国の事例を挙げて紹介しました。その後、ソカ氏が、現在のカンボジアの状況を説明しつつ、今後の保健や栄養教育の重要性と共に「学齢期の子どもの食生活指針」を紹介しました。また、日本の小学校で見学した「朝食の大切さ」の授業をもとに、学生と一緒に、それぞれの朝食を見直すアクティビティを実施し、とても和気あいあいとした雰囲気のワークショップとなりました。
栄養学を学ぶことについて話すFIDRの甲斐専門家
食生活指針について説明するソカ氏
参加した学生は大学2~4年生と幅広く、専攻も様々でしたが、皆、熱心に話を聞いてくれて、反応も上々。そして、さすがは大学生、しっかりと英語で質問できる学生も多く、予定時間を超過しても、たくさんの質問が続きました。特に、農学部の学生は、野菜の栄養(どの野菜にどんな栄養素が多いかなど)や調理法(調理と栄養素の関係)のことなどへの関心が高く、近い将来、また話をしに来てほしいという要望も受けました。
今回のようなテーマでのワークショップは、スヴァイリエン大学でも初めてで、参加した大学関係者や学生にとって、初めて知り、考える内容も多かったようです。特に、栄養士や管理栄養士などという職種が存在しないカンボジアでは、栄養学を学ぶとどういう仕事ができるのか、などは想像もしなかったようです。
私たちが作成した食生活指針は、主に学齢期の子どもに向けたものですが、これから親世代となっていく大学生に知ってもらうことは大変重要です。これからの日常生活の中で、また、将来子どもを持った時に、このワークショップのことを思い出し、栄養のことや自らの食事のことを考えてくれることを願って話をしました。また、これをきっかけに、少しでも栄養に興味を持つ学生、将来もっと栄養学を勉強したいと願う若者が増えると良いなと思いました。