栄養科、自立へのスタート ~栄養キャンペーンの開催&栄養カウンセリングルームの開設~
栄養キャンペーンで、栄養の大切さをPRするボランティアの大学生
FIDRは、国立小児病院において、2006年から病院給食システムの確立を、2014年からは栄養管理の導入を支援してきました。3月で終了するこれらの取り組みの「締めくくり」ともいえるイベントが、1月18日に開催されました。同院の栄養科が初めて主体的に企画・実施した「栄養キャンペーン」です。これにはちょっとしたエピソードがあります。
昨年夏、栄養科のスタッフから「患者の付き添い家族への栄養の啓発や、国立小児病院での栄養のサービスをもっと認知してもらうために、栄養キャンペーンを行いたい」と相談を受けました。プロジェクトの最終年にあたり「イベントが集大成となるよう、成功させよう!」と、FIDRは賛同しました。ところがその後、同院長から、看護部で計画している他のイベントの一部として栄養キャンペーンを行うことが提案されました。他のイベントの一部となれば、独自の活動が制限される一方で、準備の労力はぐっと軽減されます。「栄養科としてはどうしたいのか、考えて返事をして欲しい」と彼女たちに判断を委ねました。
翌日。「準備が大変なのは重々承知している。でも、これから栄養科が病院の中で認められ、自立して歩いていくためにも、自信をつけたい。私たちの目的がぶれないためにも、独自開催に挑戦したい。院長も説得し、私たちの企画をサポートしてくれることになった。」栄養科のリーダーの一人、ダネー医師からの連絡に、私たちFIDRスタッフも心動かされ、単独開催に向けて計画を進めることになりました。2007年から給食・栄養管理の取り組みにご協力くださっている、京都モーニングロータリークラブの皆さんが、このキャンペーンの開催費用をご支援くださることにもなり、栄養科スタッフにとっても大きな励ましとなりました。準備に奔走する栄養科を、彼女たちの主体性を尊重する形で、FIDRもサポートしてきました。
そして当日。イベントは、病院内外から約180人が参加し盛況となりました。セレモニーでは、病院関係者や患者の付き添い家族らの前で、栄養科の医師3人が、病院給食管理、栄養管理、栄養カウンセリングについて説明しました。最初は緊張していた彼女たちの本番の堂々たる姿に、当プロジェクトが「卒業」を迎えることを実感しました。
このほか、各病室では院長らが栄養の大切さをPRしたり、屋外では栄養に関する様々なブースが出展、無料栄養相談やゲーム、病院給食の試食、野菜や栄養に配慮された菓子の紹介などが行われました。
セレモニーで発表する栄養科のダネー医師
セレモニー後の記念撮影。病院スタッフが一体となったキャンペーンとなりました
院長(手前右)ら病院スタッフが、患者の入院家族にパンフレットを配りながら啓発活動
屋外の病院給食試食ブース。「入院するとどんな食事が提供されるの?」と来場者も興味津々
またこの日、カンボジアの国立病院で初めてとなる「栄養カウンセリングルーム」の開設式も行われました。カウンセリング・サービスの開始に向けて、これまでFIDRの栄養専門家が栄養科のスタッフに研修を行ってきましたが、これからは彼女たちが地道に様々なケースを扱い経験を積んでいかなければなりません。栄養科のスタッフにとっては、これからがまた新たな道の始まりです。
なお、この栄養キャンペーンは、カンボジアのテレビで放映されました。
栄養カウンセリングルームの開設式でテープカットをされる、京都モーニングロータリークラブの西村会長
栄養カウンセリンルームに、早速、第一号の相談者がやってきました