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ベトナムの山村で、日本の「改善」が役立った ーコントゥム省子どもの栄養改善プロジェクトの6年間ー(その3)

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根を下ろしたカイ・ティエン(cai thien)

このような活動を継続する中で、母親たちの中からリーダーが生まれてきました。彼女たちは、これまで母子の健康に関する情報が届かなかったり、届いてもその重要性を理解できなかったりした母親たちと、地域の保健所や村落保健員との橋渡し役を担うようになりました。FIDRは、この動きを後押しし、必要な情報が母親たちに届くようになる仕組みをつくりました。

実は、「子どもの栄養改善プロジェクト」は、戦後の日本の農村で実践された生活改善アプローチに倣ったものです。日常の衣食住の営みの中で、住民自らが工夫し、互いに教え合うことから始める。その方向性で、実践の仕組みを作る。それが、FIDRが6年間取り組んできたことでした。そして、日々の活動には、小さなチャレンジを織り込むことが何よりも大切。永続する結果は、そこに生まれました。

ベトナム語に「カイ・ティエン(cai thien)」という言葉があります。「改善」、意味も全く同じです。プロジェクトは、母親たちに対する夫や姑の理解、近所との協力を高め、子どもの栄養改善という効果を生み出しました。必要だったのは、物質的な支援でも、表面的な知識でもなく、「ちょっとした努力で生活環境が変えられる」という住民の気づきと、永続的に生活を改善する「家族のあり方」だったのです。日本の改善は、コントゥム省でもカイ・ティエンとして着実に地域に根を下ろし、拡がっています。