【第三報】カンボジア・クラチェ州で、コロナウイルス感染防止のための資材を支援しました
支援した噴霧器で、保健スタッフが州保健局内を消毒しているところ(5月21日撮影)
カンボジアにおいても、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、6月1日時点の感染者数は125名と発表されています。これまでに、感染がより深刻なタイ等の近隣国から推定4~5万人の出稼ぎ労働者が国内各地に帰還しており、コミュニティレベルでの感染拡大が懸念されてきました。カンボジアの地方部では、医療機関といえども感染予防のための資材や消毒液等の備えは十分ではありません。
現時点で123名が治療を終えており、死者も発生していませんが、気の緩みによる第二波を防ぐためにも、FIDRでは引き続き事業地での注意喚起や防止策の啓発活動を続けています。カンボジア事務所では3月下旬から事務所を閉鎖し、活動の一時中断を余儀なくされました。4月には政府により国内での移動制限も発出され、緊張感が高まる中、感染状況を注視しながら活動再開時期を探ってきました。
このような状況下で、小児外科支援プロジェクトを展開するクラチェ州のFIDRスタッフは、クラチェ州の保健行政機関である州保健局とともに、不安に怯える地元の人々を、そして医療従事者を守るための支援を探りました。その結果、遠隔でも届けることが可能な物資として、緊急性・必要性の高い①医療用マスク140箱、②非接触型の赤外線体温計27本、③アルコール消毒用の噴霧器1台の支援が州保健局よりFIDRに対して要請されました。
4月22日、無事にこれら支援物資をクラチェ州保健局に届けることができました。支援物資の購入にあたっては、FIDRの法人賛助会員であるソントン株式会社からのご寄付を頂きました。
州保健局長によると、他ドナーからの支援はマスクが中心のため、噴霧器の支援はこれが初でした。クラチェ州では噴霧器の常備がなくこの一台のみであるため、局内で管理して必要な場所へ随時貸し出すことになりました。予防のリーダーシップを取るべき州保健局が医療機関内の消毒を徹底するためにも、噴霧器は必須のアイテムです。感染予防のためには各医療機関に一台常備するのが理想ですが、希釈するアルコールも貴重品ですので、節約しながら順番に使わざるを得ないのが実情です。体温計とマスクは、保健センターなど住民が最も身近に接する医療機関へ速やかに配布されました。
カンボジア事務所では5月下旬より、感染予防対策を行った上での活動を再開しています。これまでのように大人数の住民や患者を集めて研修を行えないなど制限はありますが、現場を久々に訪れることができ、馴染みの人々と再び会うことができる喜びには代え難いものがあります。活動停止で一旦は止まった時間を、また少しずつ、且つ慎重に、動かすべく現場のスタッフは今日も忙しく活動しています。