コロナ禍のプロジェクト地―長引く学校閉鎖の中、進む学習環境づくり―
FIDRのプロジェクトでは、昨年7月に、ラメチャップ郡ベタリ区にてシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校とシヴァ小中学校の2校において新しい校舎及びトイレが完成しました。また、12月までにダーディン郡の3校においてもトイレの建設を完了しました。今年度は、学校施設が維持、活用されていくように、教員を対象とした研修を予定していました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月下旬から学校が閉鎖され、FIDRのプロジェクト地での活動は一時中断しています。
ネパールでは、3月中旬、新型コロナウイルスの影響が出ることを予測し、全ての公立学校で学年末テストを繰り上げて行い、休暇に入りました。しかし、その時点では、その後何カ月にも亘り学校が閉鎖になることは誰も予測していませんでした。本来は4月中旬から新学校年度が始まりますが、8月上旬現在、FIDRのプロジェクト地の学校も依然として閉鎖されたままです。
3月下旬から始まった全国一斉のロックダウンが緩和されたのは、6月中旬でした。制約が緩和した活動の中に、学校再開は含まれていませんでしたが、地区政府は、州政府とともに、学校再開や学習継続に向けてどうすべきか話し合いを行いました。そこで、全ての地区で、昨年度の期末テストの結果を公表することを決め、生徒の入学・登録手続きや教科書配布を開始しました。
ソーシャルディスタンスを保ちながら、教科者配布を待つ父兄や子どもたち
カトマンズの私立学校では、オンラインでの授業が開始される一方で、農村部では、FMラジオを使った学習が導入されました。しかし、ラジオ等の機器がない家庭も多い上、通信が不安定なため、この新しいシステムは効果的には活用されていないのが現状です。そのため、多くの子どもたちはずっと学ぶ機会がないままです。
ネパールでは緩和政策が打ち出されたこともあり、新型コロナウイルス感染者は依然として増加しており、感染リスクはプロジェクト地にも及んでいます。しかし、教員らは、学校が再開次第、子どもがすぐに授業を受けられるように、準備を進めています。
校庭の芝生やフェンスを整備する教員たち