コロナ禍で見えてきた手洗いの重要性
新型コロナウイルスの予防に欠かせないのが、手洗いです。当プロジェクトでも、日頃から公衆衛生や疾病予防のための研修でその重要性を伝え、手洗い指導に取り組んできました。しかし、いまだに対象地域の3割の人々は手洗い時に石鹸を使用する習慣がありません。新型コロナウイルスの感染再拡大に警戒する今こそ、手洗いを住民の生活習慣として定着させたいと考えています。
世界中で新型コロナウイルスの感染が続く中、カンボジアでは、3月に感染者数が一気に1人から109人にまで増えました。新規感染者数のピークは3月下旬で、その後は落ち着きを見せています。7月には海外からの帰国者が要因で一旦感染者は増えたものの、8月中旬からは感染者がゼロの日々が続いています。新型コロナウイルスを怖がっていた3月が嘘のように、人々はいつもの生活に戻っていっています。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、プロジェクト地の人々の間に「手洗いを行わなければ」という意識は一旦高まったものの、感染の収束により、衛生意識が薄れてきています。
調査によると、石鹸を使って手を洗う人の割合は、FIDRがプロジェクトを開始した2017年の約5割から、今年1月には約7割まで増えました。これまでは下痢や感染症など地域の住民が頻繁に患ってきた病気の予防として手洗を推奨してきましたが、新型コロナウイルスが世界中で広がる中、手洗いを習慣化させる重要性はこれまで以上に高まっています。
FIDRは現在、公衆衛生や疾病予防の研修のみならず、住民を対象に行うすべての集会や研修開催時に、手洗を徹底し、手洗い指導も実施しています。プロジェクトマネージャーの杉田は、「手洗い経験の積み重ねにより、住民自ら生活習慣を変化していってもらえるよう気を引き締めて臨みたい」と語ります。