一石五鳥をねらえ!…いや一石十鳥だ!~プロジェクトが生み出したもの(その1)~
2016年から中部山岳地のナムザン郡で、地域資源を活用した特産品づくりによる少数民族の収入向上と地域の活性化を目指してきた当プロジェクトは2020年8月に4年間の活動を完了しました。
FIDRのプロジェクト・メンバーはたった数人。その呼びかけで、約4,900世帯が動き、230を超える商品が開発されました。一体、地域で何が起こったのでしょうか。これまでの取り組みを振り返ります。
キーワードは「自分の宝から、お客様の宝へ」
プロジェクトの根幹となったのは、誰もが参画できること、そして地域資源を商品化し、マッチするマーケットで販売するという仕組みです。
当プロジェクトでは、先行プロジェクトで開発された「カトゥー族ツアー」や「伝統織製品」のほか、特産品化できそうな地域資源を見つける「宝さがし」を行い、豆やお米等の農産品、スパイス、籠など様々な「宝」が商品になりました。
これら「宝」の発見から開発までの過程には、住民誰もが参加できます。FIDRが着目したのは、彼らの持っているクリエイティビティです。2017年に実施した日本人専門家によるワークショップで、たった3色の粘土菓子を使って作品をつくるという課題が出された際に、彼らは豊かな発想力で創造性に溢れるたくさんの作品を生み出し、専門家を驚かせたのです。住民のクリエイティビティを引き出すよう努めたことで、多様な「宝」の産出につながりました。そして、「宝」の商品化には、対象地域の90%を超える4,900世帯が携わりました。
住民が発掘した宝はABCDEの5つのレベルに分類され、それぞれの商品が挑戦しやすいマーケットにすぐに挑めるよう工夫しました。4年の間、住民は、「発掘した資源(=宝)が商品になったあとも、マーケットからのフィードバックを受け、常により良いものをつくる」というサイクルを無数に繰り返しました。
地域資源を十分に活かした製品やサービスを「自分たちの宝から、お客様の宝へ」と意識することで、ファンを増やし、そしてファン・コミュニティが構築されていきました。
出来上がった織物商品の検品もしっかり行われた
加工品を製造する村の人々。装備もばっちり!