新校舎完成から1年、学校の今
昨年7月、ラメチャップ郡ベタリ区のシッダジョティ・ハリミシュラ小中学校とシヴァ小中学校に、FIDRの支援による新しい校舎とトイレが完成しました。それから1年、各校では、学習環境を改善させる取り組みが行われ、子どもたち、教員、保護者に様々な変化がみえるようになりました。
両校では、2015年のネパール大地震以来、竹組み・土間の粗末な小屋を仮設教室として使用しており、衛生面で十分な配慮がなされていませんでした。しかし、新校舎ができてからは、教室にゴミ箱を置き、新設したトイレの近くには手洗い場を新しく設置し、子どもたちが日常的に衛生を心がけて行動できるよう、環境を整えました。また、教材を壁に掲示したり、就学前の子どもたち用の低いテーブル、教壇などを製作したり、子どもたちにとってよりよい学習環境づくりを、学校管理委員会が中心となって行っています。
新校舎ができる前の教室と授業の様子(シッダジョティ・ハリミシュラ小中学校)
現在、教室内の壁に教材を掲示することができるようになりました
こうした工夫や取り組みは、子どもたちや教員、保護者にも様々な変化を生み出しました。仮設教室では雨風で先生の話す声が聞こえないと多くの子どもたちが言っていましたが、新しい教室では集中して授業を受けられると実感のこもった声が聞かれます。それもあってか、シヴァ小中学校では8年生が受ける卒業試験に、昨年は半数しか通らなかったのに対して、今年は全員が合格することができました。
また、保護者も子どもたちの様子に以前よりも注意を払うようになりました。例えば、子どもたちが清潔な服を着るようになったのは目に見てわかる大きな変化のひとつです。また、これまでは子どもが早退してきても気にかけなかった親もいたそうですが、最近は父兄から学校に連絡してくることが増え、子どもたちの早退率も下がったと先生は報告してくれました。
そのような中、今春の新型コロナウイルスの感染拡大。両校も、ネパール政府の方針に従って学校は3月中旬から閉鎖されました。その後なかなか再開の目途は立ちませんでしたが、そのような状況下でも先生たちは校庭の芝をはったり、柵をつくったり、できることを始めました。8月頃には、集落ごとに少数の子どもたちを集めて勉強をみる、巡回訪問も試しました。9月には村で学校再開をしてもいいとの判断が下り、現在両校では、教室内のソーシャル・ディスタンシングや授業前の手洗い等、新型コロナウイルスの予防対策を徹底しながら、授業を開始しています。