小児外科治療は、術後のフォローアップまで!
患者が病院で手術や処置を受けた後、合併症もなく順調に回復しているか、手術や処置が適切であったかを判断するためにも、退院後も継続的な診療は欠かせません。しかしカンボジアでは、一度治療を終えて退院してしまうと、回復状態を確認するために来院するように医師が求めてもそれに応じる患者は極めて少ないのが実情です。クラチェ州病院も例外ではありません。FIDRは当院の術後の患者のフォローアップとして、看護師が退院した元患者の自宅を訪問し、その後の様子や合併症がないかを確認する活動をサポートしています 。
2020年10月21日、FIDRは、退院後の患者の様子が気になるというケティ看護師の声をうけ、術後フォローアップのためにクラチェ州のバンレー村に住む小児外科患者を訪問しました。訪問した患者は、3歳の男の子で、2020年3月末から1カ月、両足の火傷によりクラチェ州病院に入院していました。火傷を負ってから家で患部に「歯磨き粉」をぬり、知り合いのクリニックで火傷の消毒をしてもらうなどして4日が経つ時に、患部が悪化した状況でクラチェ州病院に来ました。
訪問の結果、合併症や運動機能に異常がないようでしたが、一部に赤黒いケロイドが生じていました。今後その範囲や程度が進行すれば機能障害が危ぶまれ、手術が必要になるため、注意深く観察するように患者のお母さんにアドバイスをしました。
息子の傷跡を心配していたお母さんは、ケティ看護師の術後の経過が良好という言葉に安堵した様子でした。ケティ看護師にとって、退院後の患者の回復を確認するために患者の自宅を訪問するのは初めての経験で、退院後の患者のフォローアップの重要性を改めて認識したようです。二人は電話番号も教え合い、不安があれば電話で相談することを約束して別れました。
クラチェ州病院に来院してから完治まで、ずっとケアをしてきたケティ看護師の存在に、「ケティ看護師が親身に診てくれたおかげで、不安が和らぎました」とお母さんからは感謝の声が聞かれました。