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コロナ治療から外科診療の改善へ Vol.1

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FIDRが活動しているカンボジアのクラチェ州では、今年4月に初めて陽性者が確認され、州の主要病院であるクラチェ州病院でも、医師や看護師が持ち回りでコロナ患者の治療にあたっています。FIDRのカウンターパートである外科の職員からも、5月下旬から6月上旬にかけて、ダラ医師とティアラ看護師の計2名がコロナ患者の治療チームに参加しました。今回彼らにオンラインで取材したところ、現在のクラチェ州病院のコロナ患者治療の状況と、コロナ対応の経験から得た、今後の外科診療につながる気付きについて語ってくれました。これから2回にわたり、お届けします。

コロナ治療チームに参加することになり、あなたやご家族はどのように思いましたか?
ティアラ看護師:最初は少し緊張しましたが、大事な仕事なので、頑張ろうと決心しました。私の家族が、私が感染するのを心配していました。
ダラ医師:私の家族も心配していましたが、私の仕事のことをよく理解して、応援してくれました。

コロナ治療チームでは、具体的にどんな業務を担当しましたか?
ティアラ看護師:1日24時間ずっとスタンバイしていました。 新患でコロナの疑いがあるときは、患者の症状をチェックし、PCR検査用に検体をプノンペンへ送るか判断するため簡易迅速検査を行いました。
また、毎朝8時から入院患者のバイタルサイン(呼吸・体温・血圧・脈拍など)をはかり、薬を投与し、医師からの指示を確認して対応しました。患者の容態に問題がないか常に見守り、異常があったら、すぐ医師に連絡していました。
ダラ医師:別の医師とともに、14日間で16人の患者の治療を担当しました。

他の病気の患者の治療と比べて難しいことや大変だったことがありますか?
ティアラ看護師:持病で糖尿病があり、重症化した患者さんが1人いました。 呼吸困難があり、酸素飽和度は低く80%しかありませんでした。体温は高く、37.5℃から38.6℃の間でした。私は何度も患者の様子を確認しに行きました。6日目に呼吸の状態が厳しくなり、医師から肺のレントゲンをとるよう指示がでました。肺に問題があることがわかり治療を続けた結果、患者さんの状態は良くなり、無事に退院できました。
ダラ医師: コロナ患者の症状は変化が激しいため、24時間体制で治療にあたる必要がありました。症状の変化に応じてすぐ対応できるように、1日に何度も回診しました。軽症患者の回診は1日に2回、中等症の患者は4,5回、重症の患者は10回以上も診察することがありました。 また、防護服を常に着ているので、患者に直接触れて、肺や心臓の音を聞いたりすることはできませんでした。できることは、病歴と症状について尋ねることだけです。

コロナの予防対策としては、病院ではどのようなことを実施していますか?
ティアラ看護師:患者と接するときには、保健省のガイドラインに従い、防護具を装着します。また着脱の際には、必ず手と体をアルコールスプレーで除菌します。患者の症状の程度によって、軽症・中等症・重症と、病室が分かれていますが、これらの病室は近くにありますので、職員や患者が出入りするときに、ウイルスが空中に浮遊する可能性もあるのではないかと心配しています。
ダラ医師:コロナ患者は隔離室に入院しますので、患者の家族や来訪者は患者に会うことはできません。外科棟では、建物に入る前に体温を測り、マスクを装着し、アルコール消毒もしています。

今回コロナ治療チームへの参加を終えて、どう思いますか?
ティアラ看護師:すでに一度経験していますので、もしまたコロナ治療チームに再度抜擢されることになっても、大丈夫だと思います。
ダラ医師:今回チームに参加したことは、私にとっていい経験になりました。今後もできるだけ多くの患者さんを助けたいと思っています。

(写真 左:ティアラ看護師/ 右:ダラ医師)

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