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病棟も患者さんの心も明るくするアートの力

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FIDRは活動するクラチェ州病院で、入院生活を送る患者さんの気持ちが少しでも明るくなるよう、何かできないかと考えていました。そこで、カンボジアでアーティストとして活動しているフランス人のAlexiaさんをクラチェ州病院に招き、昨秋新しく建設した外科・産科病棟内に壁画を描く企画を考えました。

Alexiaさんは壁画のデザインから仕上げまで、すべてボランティアでかかわってくださいました。壁画デザインには、入院患者の回復への想い、日本の支援を象徴する日の丸、病院スタッフと日本の協力など、さまざまな要素が取り入れられました。壁画を描く3日間の作業には、病院スタッフや入院している子どもたちも参加。患者の休憩スペースと小児病室の壁に素敵なアートが出来上がりました。

子どもたちや病院スタッフの楽しそうな顔や、新しくも少々殺風景だった病室がすっかり華やかになったのを見て、人の心も空間も彩り明るくしてくれる、アートの力を改めて感じました。

Alexiaさんは、この3日間を振り返ってこのように語ってくれました。
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このアートに込めた私の想いは、入院している患者さんとその家族が、快適に過ごせる空間を提供すること。そして、見る人によって自分だけの物語を想像してもらえるようなデザインにすること。そこで、クメール語の「早く元気になりますように」、「あなたの回復を願っています」というメッセージを中心に構成を考えました。また、患者さんたちが自分たちにとって癒しの言葉を書くためのスペースも設けました。

この3日間、やることがたくさんありました。まず、壁をきれいにして、床が汚れないようにカバーをかけてから、作業開始!描く壁画のデザインを下書きして、それに沿って壁に色を塗って、ブラシを洗って、また新しい色を塗って、、という作業を繰り返しながら、完成させました。

カンボジアで最も暑い時期にこのアートプロジェクトを行いましたが、ありがたいことに、多くの病院スタッフ、患者さんとその家族や、子どもたちが協力してくれました。作業している間に偶然前を通った人も、立ち止まって、一緒に手伝ってくれました。アートショーを楽しむように、幸せそうに見てくれる患者さんもいました。

参加したみんなは、この作品の一部になりたくて、喜んで私がお願いしたように描いてくれました。実際、ブラシを手に持ったことがない人がほとんどです。私はいまも、若い看護師さんが、初めて壁に明るい紫色のブラシをかけた瞬間の輝いた表情を覚えています。

壁画を描いている間、心に残っているエピソードがあります。一日中壁と向かい合って作業していた私は、病室で療養していた2人の若い女の子と、目を合わす瞬間が沢山ありました。彼女たちは交通事故で入院していましたが、退院の時に、わざわざ私に「ありがとう」と言いに来てくれました。お互い言葉はあまり通じなくとも、彼女たちの元気な笑顔がすべてを語ってくれていました。

このように、大変な状況に置かれている患者さんとその家族がいる場所で、アートを通して幸せな思い出や気持ちを共有できることが、お互いの癒しにも、刺激にもなると強く感じました。これは私がカンボジアを離れる前の最後のプロジェクトで、最高の思い出となりました。クラチェ州のみなさん、ありがとう!

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