乾季の農業生産の変化に、こうご期待!!
2022年2月に活動を開始したネパール地域総合開発プロジェクト。FIDRはネパール東部のソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡の山岳地で、子どもたちが健康に育つことのできるコミュニティーづくりのため、住民の農業生産力の向上と収入の安定、衛生行動や学習環境の改善に取り組んでいます。そのうちの活動の1つが、農業用のため池づくりです。
なぜ、FIDRはため池づくりを推進するのでしょうか?
ネパールの山岳地では水不足により、雨季(6~9月)の間しか十分な農作物を収穫できないことが課題です。山の水源から引いた水と雨水を溜めておく「ため池」を設置することで、乾季の間も農業用水が引けるようになり、1年を通して作物を育て販売できるようになります。年間を通じて農業により収入を得られるようになることで、これまで国外・都市部へ出稼ぎに行ってきた若者たちが村に戻り、地域全体の活性化も期待できます。
ため池づくりを主導するのは、住民の方々です。まず、近隣の農家どうし5~10世帯でグループをつくります。FIDRはため池の作り方を指導し、一部の資材(プラスチックシートとパイプのみ)を提供しますが、それ以外の資材は全て住民が用意し、地面の掘削、ハイプやプラスチックシート、フェンスの設置まで、農家グループが協力して作り上げます。2022年7月現在、両郡で30個のため池が完成しました。
ため池を完成させた農家グループからは、さっそく喜びの声が上がっています。
ある農家の方は「毎週木曜日に地域の大きな市場が開かれるんだ。乾季になったら、ため池から畑に水を引き、キャベツ、トマト、ニンニク、玉ねぎ、トウガラシ、カリフラワーなどを収穫し、そこで売るつもりだよ。そのお金は子どもたちの教育のために使う予定なんだ」と目を輝かせながら、今後の展望を語ってくれました。
「水不足」に限らず、地域の共通課題を解決するためには、住民どうしの協力が欠かせません。ため池づくりは、彼らが協働しながら生活をより良いものにしていくための、第一歩にもなっています。
設置場所でため池のサイズを計測します
土を掘って、準備します
飛び出た石などでプラスチックシートが破けないよう、泥を塗って壁を平らにします
頑丈なプラスチックシートを設置して
土のうでプラスチックシートを固定します
安全のために竹のフェンスを設置して、完成!