寒い冬でも大丈夫!作物を守るトンネル栽培
クローズドタイプのトンネルハウス
オープンタイプのトンネルハウス
FIDRが地域開発に取り組むソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡では、雨の少ない乾季(10月~5月)の間、水不足で農作物が育てられないことが課題です。水不足を解決するために、FIDRは住民の方々とため池づくりを進めており、農業用水が確保できる地域も増えてきました。
ところが、ため池を作れば安心かと言えばそうではありません。乾季の大部分は冬。現在活動を進めている2つの村の標高は1,000m~3,000mで、最も寒い時期になると日中は平均15~25℃ほどありますが、朝晩は平均1~10℃ほどになります。冷気や強風にさらされ、農作物の育ちが悪くなることも珍しくありません。そこでFIDRは、トンネル栽培の普及にも取り組んでいます。
トンネル栽培とは、作物を植えた部分の土をトンネル状にビニールなどで覆う「トンネルハウス」を設置することで、保温状態を維持しながら農作物を栽培する方法です。
ビニールハウス栽培と同様ですが、比較的小型でコストが抑えられると言われています。
トンネルハウスには、ビニールの端を土に埋め込むクローズドタイプと、端が開いているオープンタイプがあります。一部がクローズド、一部がオープン、というタイプもあります。どのタイプにするかは、野菜の品種と地理的状況(標高・気温・風等)により、各家庭で判断しています。
例えば、標高が高く気温の低いエリアでは、保温効果を求めてクローズドタイプ。強風の影響を強く受ける場所に住む人は、骨組みの高さを低めに抑えたクローズドタイプ。
背が高く成長する野菜を育てる場合はオープンタイプ、、、などです。
ため池づくりと同様にトンネルハウスも、FIDRは作り方を指導しますが、実際に作るのは住民の方々です。近隣の農家でグループを作り、協力しあいながら、地元の竹などを使ってハウスの骨組みを作り、そこにプラスチックシートをかぶせてハウスを完成させます。
2023年1月下旬までに、ソルクンブ郡で82個、オカルドゥンガ郡で53個のトンネルハウスが完成しました。自分たちで協力して作った思い入れがあるからか、どのトンネルハウスもよく管理されています。
ハウスでは、トマト、キャベツ、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ニンニク、カリフラワーなどの野菜、チリやコリアンダーなどのスパイス、豆、ブドウなどが栽培されています。
冬でもトマトが栽培できる!ということで、人々はこぞってトマトのトンネル栽培に挑戦しています。すでに800㎏ものトマトを収穫し、地元の市場で販売して収入を得た農家グループもあります。
トンネル栽培により、プロジェクト地では年間を通して様々な農作物の収穫が可能になります。各家庭の食卓も、生活も、豊かになっていくことが大きく期待されます。
トンネルハウスの骨組
協力してビニールをかぶせます