ただの保健室じゃない!「保健教室」ってどんなところ?
学校で子どもたちの健康を守る場所といえば、保健室。
体調不良や怪我などでお世話になった方も多いのではないでしょうか?
カンボジアではまだまだ「保健室」のある学校が限られる中、教育省は2025年に保健科目の授業を導入するのを契機として、全校への保健室の設置も目指しています。
FIDRは、モデル校* 4校において、保健室の設置を支援することにしました。大切にしたのは、傷病の応急処置を行うだけの場所ではなく、「生徒や地域の住民が、保健や栄養について学べる場所にする」ということです。よって名称も「保健教室」と呼ぶことにしました。
モデル校4校には、各学校の状況にあわせて「保健教室」を設けました。空き教室を活用した学校もあれば、図書室の一角を区切って利用する学校もあります。
FIDRは各校に、ベッドやマットレス、応急処置用品、それらを保管する戸棚などの備品を配備しました。このほか、教育省学校保健局と地域の保健センターから講師を迎え、保健教室の担当教員へ、子応急手当や医療機関に搬送する目安などについての研修も2回実施しました。
空き教室に開設された保健教室
応急手当てに関する研修の様子
また、3校にはスマートテレビ(インターネットにつながるテレビ)を設置しました。写真や動画を交えながら、子どもたちに、正しい歯磨きの方法や、感染症の予防知識をはじめとした健康に関する知識を提供します。
各校では、保健教室の開設による効果が早速表れています。
子どもたちは、怪我の応急処置を受けたり、体調不良時に休んだりできるようになりました。これまでは体調不良でも我慢していた子どもが、保健教室に足を運ぶようになった、という変化がみられています。
子どもからは「学校で頭やお腹が痛くなっても、保健教室で休んでから、授業に戻れるようになりました。保健教室ができて、とても嬉しい」という声も聞かれています。
ケアの場所ができ、先生が知識を得たことで、子どもたちが安心して学校で過ごせるようになりました。
体調を崩し保健教室で先生のケアを受ける生徒
また、「教室」としての活用も始まっています。
保健教室を図書室の一角に設けた学校では、子どもたちが図書室に来た機会を利用して、先生がテレビに写真などを映しながら、健康、怪我や病気につながる行動、応急処置などについて説明しています。
校長先生は、「以前より多くの子どもたちが図書室に足を運ぶようになりました。子どもたちは、テレビで視覚的に学ぶことを楽しんでいます」と言います。
スマートテレビを活用して保健に関する知識を学ぶ生徒たち
「健康が守られる環境が整うこと」、また、「健康を守る知識を得て実践していくこと」は、栄養教育の効果につながります。FIDRは引き続き、保健衛生の観点も含めて、モデル校での活動を進めていきます。
*全国の学校に先駆けて栄養を含む保健の授業を導入し、学校保健活動を実践する、コンポンチャム州の4校(小学校2校、中・高等学校2校)。