驚きの連続、初めての日本医療現場!
中央材料部(滅菌部門)にて手術器具管理の様子を視察。左端がキムラタナ職員
カンボジア小児外科支援プロジェクト担当のキムラタナです。
2023年10月、初めて出張で日本を訪れ、医療現場を視察しました。目的は、日本の医療施設や医療スタッフの働きから学びを得るためです。
埼玉県立小児医療センター、兵庫県立こども病院、近畿大学奈良病院などの医療現場を訪れたり、富士電機神戸工場では企業の産業保健師の方からお話を伺ったりしました。
どの訪問先でも、スタッフの方々がとても温かく迎え入れてくれたのが印象に残っています。
また日本の医療技術、治療やケアの方法、医療スタッフ間のコミュニケーションや情報共有の方法は、小児外科支援プロジェクトの現場であるクラチェ州病院とは大きく違い、強い驚きを感じました。
各病院では特に、外科病棟、手術室、中央材料部(院内で使われる器具を滅菌する部門)について、クラチェ州病院でも取り入れられることがないだろうか、と考えながら見学しました。
外科病棟の病室では、患者さんのベッドのスペースが十分に確保されていて、患者さんをケアするための環境が十分に整っていました。カンボジアでは患者さんのお世話や見守りは付き添い家族の役目ですが、視察した医療機関では、入院患者は病棟スタッフによって24時間体制で見守られていたため、必ずしも家族が付き添うことが求められていません。
特に興味を持ったのは、病院スタッフの方が家族に手術の手順を丁寧に説明していたことや、手術前の患者さんに対して、恐怖心を和らげるような配慮がなされていたことです。カンボジアでは事前に十分な説明もなく手術を受けることが普通なので、とても驚きました。患者さんに安心して手術を受けてもらうことはとても大切なことだと思いました。
手術室では、日本では通常のこととして
「患者さんを手術室に移動する前に、ご本人もしくは付き添いの方に名前を再確認する」
「手術担当のスタッフが外科部門スタッフからの情報共有(病名、予定手術、患者さんの術前の病棟での様子、使用薬剤などの患者情報について)をしっかり受ける」
「手術チームが手術直前にチェックリストを使って入念に最終確認をする」
といったことが行われており、これらが徹底されているのも驚きでした。
中央材料部(滅菌部門)では、厚生労働省などのガイドラインに従って、手術器具の洗浄、滅菌、準備の管理を滅菌専門の会社と協力しながら行っていました。清潔エリアと不潔エリアを分けて、使用済み器具の回収動線と滅菌済器具の配備動線を分けていることもわかりました。
クラチェ州病院の 滅菌部門では洗浄、滅菌、保管のエリアが同一のため、清潔・不潔の区分が曖昧になっています。日本の病院での手術器具の管理方法はとても勉強になりました。
各視察先で私が発見したことは、日本では当たり前のことかもしれませんが、カンボジアではまだ徹底されていないことばかりです。「患者さんに寄り添う姿勢」、「チーム医療(部署を越えたコミュニケーションや協力姿勢)」、「手術前のチェックリスト」など今回印象に残ったことをクラチェ州病院のスタッフへも紹介して、変えていきたいです。