乾いた土地に潤いをもたらす灌漑設備が完成しました
FIDRが地域開発に取り組むソルクンブ郡とオカルドゥンガ郡では、雨の少ない乾季(10月~5月)の間、水不足で農作物が育てられないことが課題です。
ソルクンブ郡のネチャサリャン村には、年間をとおして湧き出る沢の水があるのですが、住民が暮らしている場所から離れた山の裏側を流れているため、十分に活用されていませんでした。
そこで、同村内の水不足に悩む地域に向けて沢の水を引く灌漑設備を設置することにしました。
設置にあたっては、地域住民による設置委員会が結成されました。エンジニアによる監督の下、過去に使用されていた土水路跡にパイプラインを敷設することで、取水地点から田んぼまで水が届くようにしました。約4kmに及ぶパイプライン上には40か所に給水枡が設けられ、その給水枡から近隣の田んぼへ土水路を通じて給水される仕組みとなっています。また、それらの給水枡があることで、メンテナンスも容易になります。
灌漑設備の取水地点と裨益エリア
パイプを運ぶ住民たち
専用の機器を使いパイプをつなげます
給水桝づくり
できあがったパイプラインと給水枡
昨年の秋から作業を開始し、今年2月に無事、灌漑設備の設置が完了しました。
これまで乾季は水不足から畑を利用しないエリアでしたが、設備の完成を受けて、農家が水を利用し始めました。
灌漑設備から流れ出る水で土地が潤い、畑の野菜が育っています
米の収獲を終えた土地にまく水ができたことで、田畑を耕し、小麦、からし菜、玉ねぎ、ニンニク、ジャガイモなどを育て始めた農家が出てきています。
茶色く乾燥していた段々畑に、ぽつぽつと緑が表れ始めました
灌漑設備の水を利用して農作物を育て始めた方々に、お話を聞きました。
マニクマル・ライさん
「灌漑設備ができる前は、土地はまるで砂漠のようで、乾季に耕作はできませんでした。
設備ができると聞いたとき、私たち自身は作るお金もなかったので、とても嬉しかったです。FIDRなら信頼できるし、設備ができることは私たちにとって大きな喜びだったので、完成を心待ちにしました。
設備の完成後、水を利用できるようになったら、砂漠のようだった土地が潤いました。土地を耕して、カリフラワー、キャベツ、からし菜、ジャガイモ、コショウ、小麦、ニンニク、タマネギ、コリアンダーなどを栽培できるようになりました。また先日、カリフラワーを売って収入を得ることができました。今度はキャベツも売りたいと思っています。
灌漑設備のおかげで乾季の栽培が実現し、畑は緑豊かになりました。来年からは、もう水不足の問題から解放されます!将来的には、売れる野菜を栽培し、穀物の生産量も増やし、それらを販売することで収入を増やしたいと考えています。」
キャベツを栽培するマニクマルさん
ディク・バハドール・ライさん
「乾季にも農作物を育てたいとずっと思っていたので、灌漑設備が作られると聞き、『私たちの夢が叶う!』と、とても嬉しかったです。
設備が完成してから、私たちは土地を水で潤して耕し、季節の野菜を植えることができました。今年はトマト、カリフラワー、キャベツ、コリアンダー、ニンニク、タマネギを収穫できました。トマトの販売による収入もありました。
今後は本格的に農作物の生産量を増やして商業化したい。野菜を販売して収入を増やす計画を立てています。他の農家たちにも、呼び掛けていきたいです。」
トマトを収穫するディク・バハドールさん
この灌漑設備によって乾季の農作物収穫量が増え、この地域に暮らす人々の暮らしがより良くなることを期待しています。