「宝さがし」の神髄とは?
FIDRが長年取り組んだこのプロジェクトで大切にしているのは、「宝さがし」という活動です。
「宝さがし」の結果、見つかった地域の「宝」は、FIDRのサポートのもと住民自身の手で観光資源や特産物として磨かれていき、地域発展の源となっています。
今回は、そんな「宝さがし」の考え方や現場での実践を、この挑戦を始めた少数民族カトゥー族との経験から紹介します。
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そもそも、「宝」とはなんでしょうか?多くの人は宝石やお金、貴重な物を思い浮かべるかもしれません。カトゥー族もはじめはそうでした。
しかし、FIDRが定義した「宝」は、心から大切にしているもの、大切な友人や家族と共有したい「誇れるもの」、「愛してやまないもの」でした。言い換えれば、「宝さがし」とは、ただ地域にあるものを探すのではなく、「愛してやまないものは何か」と問いかけ、その答えを見つけることなのです。英語では、「Havingを探すのではなく、Lovingを探せ!」と言っています。「Lovingなもの」は、自分にとってなくてはならないもの。愛しているからこそ、より良くするための努力は怠らないし、その努力ですらワクワクしながら重ねられます。何か上手くいかないことがあっても諦めることはありません。
カトゥー族のLovingの一つである伝統織物
そんな「宝」を探しだす活動は、FIDRスタッフにとっても大好きな活動の一つです。FIDRスタッフが地域住民に「皆さんが愛してやまないものは何ですか?」と問いかけると、住民たちは次々と「宝」を教えてくれました。美しい自然、代々受け継がれてきた織物技術、伝統的な食事、民族の物語、伝統舞踊――これらはすべて地域の誇るべき「宝」です。そして、これらの宝を語る住民たちの笑顔は、いつも輝いています。
「宝さがし」活動には、村の誰もが参加できることもポイント
地域の「宝」を見つけた後、カトゥー族の人々はFIDRとともに、この「宝」を観光資源として活用することにしました。観光客に自分たちの生活文化を体験してもらう観光ツアーを開発、主催することで、伝統や自分たちらしい生活を守りながら地域を発展させてきました。そして、試行錯誤しながら観光ツアーの改善を重ね、観光協会を設立して自主運営するまでになりました。そのおもてなしが素晴らしいと評判を呼び、今では国内外から多くの観光客が訪れる地域となっています。
カトゥー族が愛してやまない伝統舞踊。観光ツアーを通じて多く人々が体験しています
このように、カトゥー族の人々は「宝さがし」活動を通じて、伝統文化をはじめとする自分たちの「愛してやまないもの」を認識してきました。また、観光を通じて外部から来る方々が「宝」を楽しみ、その価値に共感くださることが、カトゥー族の人々の誇りにつながっています。それだけでなく、「宝」がさらに輝きを増し、地域全体が活性化しています。
FIDRはカトゥー族との実践経験をもとに、当プロジェクトにおいて、他の地域で他の少数民族と「宝さがし」を行ってきました。その結果生まれつつある新たな観光ツアーのリリースまで、もう間もなくです。