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タイ視察で得た気づきを、クラチェ州の医療改善へ

小児外科支援プロジェクトは、カンボジア北東部に住む人々が、地元の医療施設で適切な治療や手術を安心して受けられるよう活動しています。

今回は、2024128日(日)~12日(木)に実施したタイ・ウボンラチャタニー県にある医療施設への視察についてご紹介します。クラチェ州保健局、保健行政区、保健センターから合計5名が参加し、地域病院や郡病院を訪れ、タイの医療現場の様々な取り組みを学びました。クラチェ州の医療関係者にとって、タイは地理的に近く、先進的な医療体制を持つ国です。身近で実践的な学びを得るのに適した視察先を選びました。

現在、当プロジェクトでは、医療スタッフのスキル向上だけでなく、医療機関「間」の連携強化にも力を入れています。住民が最も身近に利用する保健センターから上位医療機関へ適切に患者を紹介する仕組みから退院患者のフォローアップまでを整えるといった連携もまた、地域の医療体制の発展に不可欠だからです。

タイでは、住民が適切な医療機関を利用できるような情報共有の仕組み、保健センターから上位医療機関へのスムーズな患者搬送、患者にとって利用しやすい医療施設としての運営管理や医療スタッフが患者に接する姿勢など、たくさんのことを学ぶ機会となりました。

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サンパシットプラソン小児病院で救急搬送について説明を受ける様子

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サンパシットプラソン病院の外科棟と手術室を見学する様子

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ナムユン病院で集合写真

視察後、早速、参加者がアクションを起こしています。ヴァ・カティヤ保健センター長は、視察で得た知識をぜひ同僚に共有したいと、FIDRスタッフも招いた報告会を自ら企画し、開催しました。カティヤ保健センター長は、特に重要だと感じ、クラチェ州でも実践していきたいと考えた2点について報告しました。

1点目は、各村に配置されている保健ボランティアをもっと活用していくこと。保健ボランティアが住民の健康状態を把握し、病気の早期発見や安全な出産をサポートしていく。そして、患者や家族が自己判断で治療を遅らせることのないよう保健ボランティアが受診を促す役割を担うことで、1人でも多くの住民を医療の輪に繋げる可能性を高められるのではないか。

2点目は、患者情報の共有と迅速な患者搬送の重要性。保健センターから郡病院やクラチェ州病院への適切な患者紹介が、スムーズな治療や術後のフォローアップに繋がる。タイの救急車システムは地域と密接に連携し、10分以内に患者を搬送できる体制が整っていた。クラチェ州では、それほどの救急車システムはないものの、患者を少しでも早く対応可能な医療機関に繋げるにはどうすれば良いのかについて検討し、保健センターでもできることに取り組みたい」

他にも、タイの諸病院が、病室や病棟を男女別に分け、患者ごとに専属の看護師を配置し、施設内に子ども向けの遊び場を設置していることなども、新しい取り組みとして映りました。患者にとって不安なく、ケアをしっかりし、また居心地の良い空間を作るにはどうすれば良いのか、保健センターの在り方を考える良い契機ともなったとのことです。

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視察報告をするカティヤ保健センター長(右)

今回の視察は、参加者一人ひとりにとって貴重な学びの場となりました。学びから得た気づきを活かして、参加者が主体的にクラチェ州の医療体制に変化をもたらすことができるよう、FIDRは、今後も彼らと共に取り組んでいきます。

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