クマとのご近所生活
「熊出没注意!」。岩手県山田町では、このようなドキッとする看板をよく目にします。特に私が住む仮設住宅周辺は、町内で一番の熊出没エリアです。熊が出ると聞いて「ひぇ~こわいよぉ~~」と言っていた方も多くいました。
今年は熊の目撃情報が多く、特に夏場は毎日のように防災無線で「熊出没注意!」と呼びかけられていました。秋になると熊は冬の冬眠に備え、食料を求めて山を降りて来ることが多くなります。岩手県の山中にキノコ採りに行って、熊と鉢合わせになり襲われたという報道もよく目にします。
熊の嗅覚は優れており、人間が感じないはるか遠くからでも匂いを嗅ぎ分けることができるため、仮設住宅ではゴミの出し方が厳しく管理されています。近頃は、人間や騒音を恐れず、季節を問わず街に降りて来る「新世代熊」もいるようで、注意する必要があるとのこと。週末にジョギングをするのが趣味である私は、この看板の前を通りかかるたびに「クマに追いかけられたらどうやって振り切ろうかなぁ・・・。」などと考え、ドキドキしながら走っています。
以前、山中を車で走っていると、クマの子が一匹、何食わぬ顔で私の前を横切り、「よっこらしょっと」と言わんばかりに右足からガードレールをまたいで行きました。そのガードレールの横には「通学路のため走行注意!!」という看板がありました(本来は「走行注意」よりも「熊出没注意」という看板を出すべきでしょう・・・。)
「クマが出ることは当たり前」。思わぬクマの子との出会いを通し、熊が出る通学路を歩いて通学している子どもや、昔から自然と共存してきた地域の皆さんに、たくましさを感じたことをふと思い出した今日この頃です。