人々の尊敬を集めるということ
ベトナムの公用語である「ベトナム語」は、もともとは国の約86パーセントを占める「キン族」の言葉です。FIDRが実施しているプロジェクトの対象地域には、少数民族の方々が多く暮らしており、独自の言葉があります。ですので、誰もが「ベトナム語」の読み書きができるわけではありません。最近は若い世代に、公用語であるベトナム語を学ぶ人が増えていますが、年輩の世代にはそのような機会がなかったため、今でも文字の読み書きができない人が多くいます。
会議のためにある村へ行ったときのことです。村長さんの周りに青年たちが集まっていました。「何をしているのだろう」と様子を覗いてみると、なんと青年たちは会議の出欠をとる村長さんを手伝っていたのでした。この村長さんは文字を読んだり書いたりすることができません。でも、老若男女、みんなに支持されている村長さん。文字が読めなくても、若い世代の人で馬鹿にする人はひとりもいません。
会議の前のほんの少しの時間でしたが、心温まる光景に、「人々の尊敬を集める」とはどういうことかを改めて教えられた思いがしました。