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暮らしを色づける香辛料ウコン

ブログを書いたスタッフ

黒坂

ネパールには数知れない香辛料があります。その中でも毎日の料理に欠かせないのがウコンとクミンです。そして、塩と油。これさえあれば、後はわき役の香辛料を好みに合わせて入れるだけで、即席ネパール料理が作れます。家庭では野菜炒めに胡椒をかける感覚で全ての料理にウコンが入るので、一見、毎食がカレーのようですが、実はカレーほどこってりした感じにはなりません。だからといって、ウコンがなくてもたいして変わらないのではというと、さにあらず。

ウコンの力は、実は、「カレー味」ではなく、その色にあるのかもしれません。ネパールでは親族が亡くなり、喪に服す際、厳しいしきたりを守らなければいけません。そのひとつに喪中はウコンを料理に入れないというものがあります。毎日、あの濃い黄色の料理を食べてきた人にとって、ウコンなしの料理は、まさに色を失った日々となり、非日常にいることを実感させられるようです。

喪中のしきたりのもうひとつが、油の音を立てないということです。ネパール料理では大さじ3杯ほどの油を熱してから、クミンを入れ、そして、洗い上げた野菜を入れます。そのとき、バチバチっと水のはねる音がしますが、これはかなり大きな音で、圧釜鍋のプシューっという音とともに、ネパールの生活音になっています。喪中にこの油音を立てずに過ごすこともまた、普段とは違う寂しさを感じさせます。

このようにして、ネパールでの香辛料は、味覚だけにとどまらず、人々の暮らしを色づけ、生々流転を意識させるという、とても身近で重要な役割を果たしているようです。

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