町の歩荷たち
FIDRネパール事務所の開設から9か月が経ちました。この間、事務所で仕事ができるようにするためにいろいろな物品を購入しました。中でも一番重かったのは、マンネリ電気不足のネパールでは欠かせないインバーターとバッテリーです。雨季真っ最中の今でこそ、計画停電は1日4時間に減りましたが、乾季には電気があるのを珍しく感じるほど困った状態でした。そこでインバーターとバッテリー4台の購入を決めましたが、なんと総重量は約300キロ!日本であれば、業者さんがエスカレーター、なければ滑車付荷台などで持ち上げてくれるのでしょうが・・・。そんな時、大活躍してくれたのが、運び人の方々、ネパールの歩荷です。
彼らの道具は、「ナムロドリ」と言われる紐1本。これで、荷の底をおんぶするようにひっかけ、反対側を前頭部にひっかけます。前かがみになり、どんなに大きなものでもこれで運び上げてしまうから驚きです。ネパールの道は狭いうえに、車道は渋滞が日常茶飯事。そんな中、カトマンズから隣町まで歩荷たちがグングンと歩いて行く姿を目にします。洗濯機、ベッド、コンピューター、冷蔵庫、ストーブなどなど、カトマンズの生活必需品は細い路地の奥にある家々まで彼らによって運び込まれていきます。
1回の運び賃は、距離にもよりますが、ある店主によると、およそ150ルピー(約150円)が相場だそうです。政府で定められた日雇い労働者の1日の最低賃金が318ルピー(約318円)ですから、日に数回、荷を運ぶことで最低限の生活ができることになります。しかし、物価の高いカトマンズで暮らしは大変ですし、歩荷の収入は商品の売れ行きや天候にも左右されます。歩荷の存在に感謝するとともに、彼らの労働者としての環境が整えられる日が来ることを願います。