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これぞ「醍醐味」? その名はギウ

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小山

それは白く、ねっとりとして、ほんの少し口に含むと、かすかな粒子の舌触りの後にたちまち濃厚な風味につつまれます。ネパールでは誰もが知っている食品、ギウ。農家では自家製造するのが一般的です。

ダーディン郡の山の上にあるチャムダダ集落を訪れたときのこと。老夫婦の家に招かれ、昼食をいただきました。自分の畑で採れたばかりの新鮮なジャガイモや豆をおかずとする食事は、とても滋養に満ちた味わいです。これに添えられたのが水牛のミルク、ヨーグルト、そしてギウ(写真左上の小皿にのっているもの)。

無添加で新鮮なミルクは、日本で売られている牛乳とは比較にならないコクと甘さがありました。このミルクから作るヨーグルトを、じっくりと加熱して水分を蒸発させ、ペースト状にしたのがギウです。(インドでは「ギー」といいます。)塩気がないバターといった感じですが、極上のバターさえもこの風味にはかなわないでしょう。まさにミルクのエッセンスとしか形容できない香味が口の中を満たします。これをご飯にのせたり、おかずにつけたり、あるいはそのままで食べます。

一説には醍醐味という言葉の「醍醐」は、古代に日本に伝わったチーズを指すとされますが、他方にはヨーグルトとバターの中間のような濃厚な風味の食品のことだとする説もあります。とすると、まさしくこれ。

世界の美食を追求してやまない日本人ですが、このギウがまだあまり知られていないのはどうしてでしょう。いずれにしても、ギウをご存じない方に、このふくいくたる香ばしさを何とか言葉で説明しようと思うのですが、結局、「これぞ醍醐味!」という表現しか見当たりません。

この記事ではどんな味か分からないとお思いの皆さん、ぜひネパールにいらっしゃって、「醍醐味」をご賞味あれ。

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