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空中浮揚

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小山


カトマンズ市街の東のはずれにある聖地ボダナートは、ネパールで最も大きい仏塔(ストゥーパ)があり、毎日多くの人が参拝に訪れる、当国きってのパワースポットです。

週末の夕方に訪れた時のこと。

前方に黒山の人だかりが...。午年生まれの私はやじ馬根性も人一倍強い。一緒にいた同僚を置き去りにしてどんどんその群衆の中に押し入っていきました。その中心には若い女性の姿がありました。


何か変だ...。

浮いている?


二十歳あたりと思しき女性が脚を組み座した態勢で瞑想しています。問題は、それが地面から1メートルあまりの空中だということ。周りを取り囲む人たちは驚きのまなざし。みんな携帯で写真を撮りまくっていました。

うーむ。これが話に聞いていたヒンドゥーの奥義か。若くても修行を極めると、空中浮揚も可能になるのだなあ。などと感心しつつさらに近くに寄ってみました。

あ、左脚の下のほうに布で巻かれた棒のようなものが...。

この棒が支柱で、上方に取り付けられている台座のようなものに座っているのでしょう。とはいえ、これだけの群衆にわいわい取り囲まれ、写真も撮られまくっているのに、まるで置物のようにぴたりと静止してまつげひとつさえ動かさないでいるのは、やっぱり驚きです。

今年、甚大な震災に見舞われたネパール。復興への歩みはようやく始まったところですが、最近はインドからの物資の輸入が滞り、人々の不安は尽きません。周囲の騒ぎには全くまどわされずに心静かに瞑想し続ける若き修行者の姿は私たちに何かを訴えているようにも感じました。

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