ソパールさんの新たな挑戦
コンポンチュナン州における食料不足の緩和を目指した「コンポンチュナン州農村開発プロジェクト」に昨年末よりドライバーとして加わったソパールさん。その明るく優しい性格でたちまち事務所のムードメーカー的存在となり、ドライバーとしても、村の道を詳細に把握して日々私達を安全に目的地へ送り届けてくれるその仕事ぶりに、スタッフから厚い信頼が寄せられています。
ある日の夕方、帰り際にFIDRコンポンチュナン事務所の駐車場を見ると、いつものように車を洗っているソパールさんのそばにニワトリが10羽いるのを見つけました。
驚いてどうしたのか尋ねると、ソパールさんは照れながら話してくれました。
「今までは家族に養鶏をできる人がおらず、家で鶏肉を食べられる日は年に数回しかなかったんだ。でもFIDRの農業技術研修にドライバーとして同行するうちに『養鶏技術を学んで二人の息子たちにもっと鶏肉を食べさせてあげたい』と思うようになったんだ。それから仕事の合間に他のスタッフや農家の人たちから養鶏技術について色々と教えてもらって、ついに今日、実践のため鶏を購入して、これから家に連れて帰るところなんだ。」
ソパールさんが養鶏技術を身につけ家庭で鶏を育てられるようになれば、頻繁に鶏肉が家庭の食卓に並び家族の栄養バランスが改善されるだけでなく、余った分は販売することで収入向上の面でも期待ができます。
本プロジェクトの対象者は同地域に住む農家ですが、こうした思いがけないいわば"身内"へのポジティブなインパクトに、スタッフ一同日々の活動に向けて背中を押されたように嬉しくなりました。
ソパールさんにはもうすぐ三人目の子どもが産まれます。本プロジェクトの発展とともに、養鶏によって彼の家族が十分かつ栄養のある食事を摂ることができるようになることを、これからも応援していきます。