新病棟の建設を終えて
カンボジアから、こんにちは!私の名前はロクヴッ・ラタナです。カンボジア北東部のクラチェ州に住んでいます。現在、クラチェ州における小児外科支援のプロジェクトファシリテーターを務めています。
昨年、FIDRはクラチェ州病院の外科病棟と産科病棟の新築を支援しました。私は工事の進捗確認、クラチェ州病院と施工会社との調整を担当しました。設計段階から病院関係者と「安心安全な診療を行うために、どんな病院にしたいか」「患者にとって快適な病院にするためにはどうしたらいいか」、話し合いながら病院の仕様を一緒に考え、図面を作成しました。着工後も毎月、病院関係者、施工会社、FIDRの三者で品質管理や進捗状況を確認しながら、建設を進めました。
建設にあたり、様々な課題に直面しましたが、今回はその一つを紹介します。それは、建設が進む中で、クラチェ州病院から「産科病棟の病室には、窓を2つ付けたい」「滅菌室に換気扇をつけてほしい」など、当初の計画にはなかった要望があがってきたことです。いくら丁寧に進めていても、現物ができてから気づくこともあることを実感しました。私は彼らの要望を受け止め、その必要性を理解したうえで、FIDRの他のスタッフや施工会社と相談しながら、一部図面を変更し建設を進めました。
このようにして進めてきた新病棟建設は、昨年10月に完了しました。11月下旬からは、患者の利用もはじまりました。患者も病院スタッフも新しい治療環境に満足してくれることを、また、新病棟を清潔に保ち、きちんと管理をしていってくれることを願っています。
今回の建設は私にとって初めての経験でしたが、多くの学びがありました。建設の目的を明確にし、利用者のニーズと合う計画を作っていくことの大切さも、その一つです。建設に限らず、今後も、医療関係者や患者のニーズに沿った活動の実施を心がけていきたいです。
病棟建設がひと段落したことから、これからは、病気や怪我の子どもを保健センターから州病院へ搬送する仕組みの改善にこれまで以上に力をいれていきます。子どもが最初に受診するのは保健センターです。そこで保健センターと良好な関係を築き、共に地域住民に子どもの外科疾患について情報を伝えていきたいです。外科治療が必要な子どもの患者が、州病院で適切な治療を受けられるようになることを願っています。
最後になりますが、このような私たちの取り組みにご協力くださっている皆様に、心より感謝申し上げます。