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「緊急支援」が私達に届けてくれたこと

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#海外駐在員

佐伯風土

物資を受け取る人々とFIDRカンボジア事務所所長・佐伯(最前列右)

カンボジア事務所長の佐伯です。
5月にコンポンレーン郡大嵐被害に対する緊急支援を行った時に感じたことをお伝えしたいと思います。

FIDRは現地行政からの要請を受け、同郡の68世帯に対して、食料や住宅資材などの緊急支援物資を提供しました。

一般に国際協力の世界では、「パンや魚をあげるのではなく、その作り方・釣り方を教えてあげる」ことが基本的なあるべき姿勢として語られます。物資を供与するより、知識や技術を伝えることが大事、という文脈です。ですが、状況によってはその双方が大事です。FIDRは、開発事業と緊急支援の二本柱を活動軸としており、この両方を単独で行えることが強みではないかと思います。今回、食料や資材で短期的に被災世帯の窮状を救い、今後の中長期的な復興・開発に繋がる可能性を生み出せたことで、改めて、技術支援のみならず、物質的な支援をタイムリーに投入することで人々の未来が大きく変わることを実感できました。

家屋を再建して雨季に備えることで、慣れない避難生活ではなく、住み慣れた自宅で安心して生活することができます。カンボジアのスコールは激しく、かつ水没地域ということもあり、一度放棄された家屋はすぐに劣化してしまうため、再建を急ぐことは大事な資産を失わないことにも繋がります。家を守ることは、この地区が再建・発展していくための前提条件ではないかと思います。

最後に、コンポンチュナン州農村開発事業スタッフのチャン職員の言葉を紹介します。支援物資を手渡すとき、彼女がこんな話を住民に向けて語りました。

「FIDRは日本の団体です。日本の人々の善意が私達の活動を支えています。
では、なぜ日本の団体・人々が、遠く離れたこの土地の皆さんの被災に心を痛め、支援を申し出たのでしょうか?それは、日本は災害大国であり、大きな地震も経験して、自然の脅威による被災地の人々の悲しみを深く知っているからです。今の皆さんの気持ちが痛いほど分かるからです。だから、日本の人たちも皆さんの生活を応援しているのです。皆さん、がんばりましょう。」

カンボジア人スタッフが自ら、支援することの本当の意味、日本の団体で日本人と一緒に働くことを通じて感じた思いを素直に表現したことに、ただただ驚きました。緊急支援によって、スタッフの成長を感じることができた一コマです。

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