研修視察で抱いた保健センターへの期待
昨年、出張でカンボジア小児外科支援プロジェクトの活動地を視察したときのことをお伝えします。
11月14日の朝、クラチェ州のドムライフォン保健センターにて、これまで州病院の医師から研修を受けていた保健センター長が、初めて講師を務めた研修を視察しました。
研修受講者は、各村で住民の保健推進を担う保健ボランティアの人たちでした。
講師を務めた保健センター長の他、州病院外科医のマブ先生がアシスタント講師を務め、参加者15名に対する研修が行われました。
研修では、スライドや配布資料で症例の写真が見せられ、「このような症例の時は病院に連れて行ってください」等の説明がなされたり、各参加者に今まで出会った症例を挙げてもらい、それについてのアドバイスを全員で共有したり、「このような症例のときはどうしたらよいか」を確かめる、写真カードを使った簡単なゲーム等が行われました。
参加者たちは症例への対処等について真剣に考え、質問する等、積極的に研修に参加している様子が見られました。
研修の様子
熱心に研修を受ける人々
今回の研修受講者である保健ボランティアは、住民にとって身近な存在であるため、彼らが知識を身に付けることで、住民の健康に対するケアがしやすくなることが期待できそうです。
また、研修を受けていた人が今度は講師側に立つことで、知識を伝えるノウハウが身に付いたり、より深い学びを得ることにつながるのでないかと思いました。
また研修後は、保健センター長にお話をうかがいました。
彼は、地域のコミュニティの質や、地域の人々の健康状態を改善したいという思いをもって働いているとのこと。
保健センターでは、より質の高いサービスを提供できるよう、職員への教育の質を改善していきたい、特に子どもたちや妊婦さん、またワクチン接種後の人々のケアなどについて教育をしていきたい、と力強く語ってくれました。
一方、保健センターの設備・器具の不足や老朽化が課題とのことで、例えば備品の購入費用が足りない時は、自らお金を出しているとのことでした。
「自ら保健センターの質の向上に貢献しよう」という積極的な姿勢がとても印象的でした。今後、彼のような医療関係者が増えていけば、ゆくゆくは、カンボジア国民全体の健康につながっていくという期待を抱きました。