コンポンレーン郡でのふりかけ普及活動にかかわって
こんにちは。東京外国語大学カンボジア語専攻の髙野花恋です。私は、昨年8月末から約1ヶ月間、FIDRが活動するコンポンチュナン州にてインターンをさせていただきました。今回は、インターンで携わった活動のうち、コンポンレーン郡でのふりかけ普及活動についてお話しします。
ふりかけ普及活動は、FIDRが行っているコンポンレーン郡農村開発プロジェクトの一部として、FIDRと、FIDRの法人賛助会員であるニッシントーア・岩尾(株)様が協働で行っている活動です。ニッシントーア・岩尾(株)様は、CSRの一環として取り組んでおられます。具体的には、カンボジアの子ども達の栄養不良や発育不足の解決と、プロジェクト地の方々の副収入の創出のため、ふりかけを普及しようというものです。
カンボジアでは、ふりかけが一般的ではありません。そこで、私は主にふりかけを宣伝するPOPや、食後アンケートの作成に携わりました。POPの作成は、私にとって初めての経験であり、ましてやターゲットはカンボジアの人達ということもあったので、最初は正直どのように作成していいものか分かりませんでした。そこで実践したのは、「たくさんの人に聞く」ということです。FIDRカンボジア事務所の所長でありインターンシップの統括をされている佐伯さん,ニッシントーア・岩尾(株)様の担当者の方々,コンポンチュナン事務所に常駐するFIDRチームの皆さんに、ふりかけ普及活動の目的やターゲット層、カンボジアの慣習について細かく質問し、何度も議論を重ねることによって納得するものを作り上げることができました。
昨年9月、いよいよふりかけをコンポンレーン郡の人々に紹介するときがきました。日本から来られたニッシントーア・岩尾(株)の担当者の方々やFIDRプノンペン事務所の皆さんとも合流し、コンポンレーン郡に移動しました。
コンポンレーン郡はカンボジアの中でも特に発展途上の地域であり、そこでの生活はかなり厳しいです。印象的だったのは、水上生活をされている、あるお宅を訪問させていただいた時のこと。この年は雨が少なかったため川の水位が上がらず、漁獲量も少ないため1日の収益が数百円であると話してくれた家のご主人が、訪問者である私たちのためにその日獲れた小エビをご馳走してくれたことです。コンポンレーン郡の人たちは、このお宅のご主人のようにたとえ貧しくとも、とても温かい心を持つ人たちでした。
現地では学校給食を視察したり、ふりかけのクッキング教室を開催したりしました。どこに行っても、現地の方々は私達をとても温かく迎え、また、ふりかけのクッキング教室にも積極的に参加してくださいました。日本でクッキング教室を行うとなるとインターネットでの公募が一般的なのではないかと思いますが、コンポンレーン郡では今回、村長さんにクッキング教室の情報を地元の人達に案内してくれるようお願いしました。そのせいか、参加される方々は皆仲が良く、クッキング教室も盛り上がっていて楽しかったです。
このふりかけに関わる活動においては、コンポンレーン郡への交通手段の確保や、現地での宿や提携先との連絡等々、FIDRチームの方々はたくさんの下準備を行われていました。それはもしかしたら社会で生きていく上で当然のことなのかもしれませんが、交通手段の確保一つ取っても、ただ電話で予約して終わりではなく、事前にわざわざ船着き場まで足を運び、当日の操舵手の方とお話をするなど、本当に丁寧な仕事をなさるFIDRチームの方々を見て、「仕事をするというのはこういうことなんだ」と学ばせていただきました。
私がこのインターンに参加を決意した時の目標の1つに、「観光客としてではなく当事者として仕事に取り組む」というものがあります。果たして私は、インターンシップ期間を通じてこの目標を達成することができたのでしょうか。明確な答えを得ることはできませんが、これからも、カンボジアについて勉強していく中で、もっと深く関われるように、いつかお世話になった方々に恩返しができるように、成長していきたいなと思います。
最後になりましたが、今回インターンシップの機会をくださったFIDRの皆様、貴重な経験をさせて頂き、ありがとうございました
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