コンポンレーン奇観(前編)
6月半ばのことでした。
カンボジア出張終盤。日帰りでプノンペンから赴いたコンポンレーン郡での仕事を終えて、来た時と同様に船でトンレサップ川を渡ろうと、船着き場にやってきた時です。
「川が、消えた…?」
朝、そこにあったはずの水面は、果てしなく広がる緑の平原となっていました。
突然ですが、ここでクイズです。
いったい、何が起こったのでしょう?
① 川の流れが急に変わって、船着き場周辺の水がなくなった
② 水草が大繁茂して水面を隠した
③ そもそも船着き場ではないところに私たちは来てしまった
正解は、②の水草でした。
みごと正解された皆さん、おめでとうございます。賞品はありませんが。
この水草は、日本でも観賞用に栽培されることもある、「ホテイアオイ」。葉柄の付け根あたりが浮袋のように膨らみ、水面に浮かびます。薄紫色のかわいらしい花を咲かせ、水質浄化にも役立ちます。南米原産の帰化植物ですが、カンボジアでも勢いよく育ちます。
普段は、トンレサップ川でところどころに漂うのを目にする程度です。しかし、今年はホテイアオイの生育に絶好の状況だったのか、爆発的に増え、しかもこの日はたまたま風に流されてコンポンレーン郡の船着き場あたり一面に吹き溜まったようです。
「いや~、何とも珍しい光景だ!」
などと感心していたのも束の間。私たちは困った事態になりつつあることに気づきました。
普段のトンレサップ川