お茶の水橋の小さな幸せ
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地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅を出ると、FIDR事務所まで徒歩3分。
途中、お茶の水橋を渡ります。いつも多くの人々が足早に行き交います。
なぜか朝の出勤時に限って、この橋の上で通りすがりの人の会話の一片が、私の耳に残ることがあります。
今年の夏のこと。
「合格しました!」
若い男性が携帯電話で誰かに報告。
何の試験だったのかは知る由もありませんが、私は思わず心の中で「おめでとう!」と返しました。
秋に聞こえたのは…
「ママ、だーいすき!」
自転車後部のチャイルドシートに乗った幼い女の子が、お母さんの背中ごしに。
一瞬、朝の時間の速度がここだけ緩やかになった気がしました。
数日前。
「助かったよ。ありがとうー。」
若い女性が、駅の方からやってきた同じくらいの年の女性に。
何らかの困難を脱したことは確かなようです。よかった。
川の両岸をつなぐ橋の上で、人と人をつなぐ言葉が交わされます。
その会話の断片が木の葉のように私のもとに舞い落ちてきます。
言の葉。
偶然に拾った素敵な一枚の葉に私はその一日、励まされます。